内容説明
世界のどこともわからない場所にその本屋はある。店の前には神秘的な桜が一本たたずんでいて、なかでは少女と三毛猫がコーヒーを淹れながら次の客が来るのを待ちわびている。この店に来られるのは後悔や悲しみを抱えている人だけ。店と客をつなぐのは一冊の本―桜の季節そのページをめくったときに店への扉は開かれる。読書メーター読みたい本ランキング単行本部門 週間(2025/3/28~4/3)1位。
著者等紹介
浅倉卓弥[アサクラタクヤ]
札幌生まれ。作家・翻訳家。東京大学文学部卒業。2002年『四日間の奇蹟』にて第1回『このミステリーがすごい!』大賞(金賞)を受賞、同作は映画化もされ、ミリオンセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほのぼの
51
三毛猫の鳴き声に誘われ夢のように現れる不思議な本屋。枝垂れ桜の花びらが舞う。とても綺麗な物語。そして読書が好きな人にはきっと刺さる。『星の王子さま』『夢十夜』『ピーター・パンとウェンディ』『春と修羅』4冊の名作。どれも有名だけど難解。わかるようなわからないような…。でも何か心に響く。それが何故なのか。言葉の力。想像力。そこにはもう「奇蹟」がおきている。【本とはまさに未知への扉だ】この本を読むと次々と本が読みたくなる。そしていつか奇蹟の道が繋がることを願う。本が好きな人みんなにおすすめしたい。2025/06/08
hirokun
35
★4 浅倉卓弥さんは初読みの作家さんか?ファンタジーの色彩が入った連作短編集。心温まる作品で、読後感もホッコリ。文字は想像力と一体化することにより、新たな世界を切り開いてくれる。2025/06/17
Yemi
29
猫の声に誘われて進むと優雅な音楽が流れるカフェのような本屋さんのような場所に少女がいて、、とても優しくて穏やかな気持ちになれました。猫が心に刺さった棘をぬいてくれる場所に連れていってくれる。そんな奇蹟が起きると素敵です。心温まるいいお話でした。おもしろかったです。2025/06/10
愛書家
19
なんて優しく、涙腺に来る物語なのか、と幸福のため息を漏らす。ファンタジー入っていますが、基本再生物語です。来訪者の戸惑いや受け入れの描写が丁寧。心が浄化されるとはこのことか。素晴らしい物語をありがとうございます!2025/05/31
KAKO
18
献本プレゼント。読書メーターさん、ありがとう。「世界のどこかにある不思議な本屋」のお話。ちょっと「コーヒーが冷めないうちに」や、最終話では、あるTVドラマが浮かんできた。喪失と再生。不思議な本屋に誘った本は「星の王子さま」「夢十夜」「ピーターパンとウェンディ」「春と修羅」の四冊。夢十夜はちょうど再読したばかりだった。認知症の慎吾の思考がとてもわかりやすく書かれていて、興味深い。実在の人物ではない「本」の中に生きている人物に、背中を押され、励まされると、もう頭の中に実在する、そこ重要、と最後に思った。2025/06/15