出版社内容情報
ヴィオラ・カー[ヴィオラカー]
川野靖子[カワノヤスコ]
内容説明
暗澹たる倫敦、生きながら女の体を切断する凄惨な連続猟奇殺人が発生。ジキル博士の娘、エリザ警察医は難航する事件のみならず、彼女を魔女だと決めつけ執拗につきまとう美貌の軍人ラファイエットに悩まされていた。なぜならエリザには秘密があった。抑圧されたインテリ女史の裡に潜む、甘く獰猛な欲望。それは人殺しも男を犯すこともいとわない、悪意と嘲笑に満ちた兇悪な人格リジーの存在だった!
著者等紹介
カー,ヴィオラ[カー,ヴィオラ] [Carr,Viola]
ファンタジー小説を口述している
川野靖子[カワノヤスコ]
熊本大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カナン
51
あのジキル博士に娘がいた。19世紀倫敦、ニュートンの科学と禁断の錬金術が混在するスチームパンクのネオ・ヴィクトリアン・ミステリー。猟奇事件を追う警察医エリザ・ジキルには人に知られてはならない秘密があった。一つの体に二つの心は父譲り。真紅のドレスのファム・ファタル、リジー・ハイド。足を切られたバレリーナと菫の香水、抉られた緑の瞳。悲しみのかみそりジャックと美しい軍人の謎。機械仕掛けの相棒と紫に光る放電銃、捻じれた王冠の主が城の底で嗤う。本当の敵ってあたし、それとも貴方? 倫敦には事件と狂気と影がよく似合う。2020/06/06
ゆのん
29
ジキル博士の娘エリザとハイド氏の娘リジーが連続猟奇殺人事件を追う。すっごく面白かった。「影」の存在が二重人格だけではなく他の異形なる物まで出てくるの良いなぁ。雰囲気としては昔のロンドンにちぃSFあり、ドクター・レクターあり、ジャバザハットの屋敷あり、不思議の国のアリスのワンダーランド出現って感じで600ちょいのページを飽きさせない。2015年に続編が既刊されてるという事で邦訳を待ちたい。ハーパーさんとは合うなぁ。2017/10/05
花林糖
22
ヴィクトリア時代後期のロンドンが舞台で、ジキルとハイドの娘エリザが主人公。ヴィクトリアン・スチームパンクミステリとの事で、少しぶっ飛んだ設定が面白く楽しく読めた。エリザの相棒ヒポクラテスが可愛らしい。ロマンス色が強めだけれど、もう少し控えめでもいいかな。2016/06/19
ほちょこ
14
ジギル&ハイドの娘がこれまたエリザ&リジーで、女性検察医。面白い設定なのだが、ストーリーと登場人物がいかんせんガチャガチャ。コミックか何かで読んだら、すごく面白いんだろうな。2017/01/03
紅羽
12
あの「ジキルとハイド」に娘がいたという設定の元、描かれたオカルトミステリ。何とその娘も二重人格の持ち主。警察医で堅物なエリザ・ハイドと奔放なリジー・ジキルが、時に反目し、時に協力しながら連続切り裂き魔に立ち向かっていく過程が面白かったです。被害者が腕や足を切断された状態で発見されたという辺りはどことなく「占星術殺人事件」を彷彿とさせましたが、着地点は結構シンプルなんですね。2016/06/05