内容説明
還暦をとうに過ぎながらも組織一の殺し屋として名を轟かすオルソ。ある日心臓発作に見舞われて生死の境を彷徨った彼は、40年前に生き別れた恋人と娘に一目会いたいと願うようになる。忠実に仕えてきた組織に楯突き、オルソは二人が暮らすというイタリア中部の小さな町へ向かうが、道中の列車内で突如男が襲ってきた。その男の連れにはどこか見覚えがあり―。イタリア映画界の旗手が放つ慟哭のノワール。マリアーノ・ロミーティ文学賞デビュー作部門受賞。
著者等紹介
マルターニ,マルコ[マルターニ,マルコ] [Martani,Marco]
1968年イタリアのウンブリア州生まれ。50本を超える映画やテレビの脚本を手がけ、数多くの国際的に重要な賞を獲得している。映画・テレビ番組制作会社“ワイルドサイド”創設者のひとり。『老いた殺し屋の祈り』が小説家としてのデビュー作となる
飯田亮介[イイダリョウスケ]
イタリア語翻訳家。中部イタリア・マルケ州モントットーネ村在住。日本大学国際関係学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
64
還暦を過ぎた殺し屋のオルソは、病気によって死線を彷徨うも一命をとりとめた。 そこで40年前に分かれた恋人と娘に会いたいと思い、組織の静止を振り切り旅へと出る。 枯れた老練の男が最後の願いとばかりにもがくノワール。 どう見ても60過ぎの動きじゃないだろといわんばかりに、激しい銃撃やアクションがあるが、それが逆に凄腕というのを知らしめる。 旅の過程で癒しを見つけ、それを守るため命を懸けようとする。 ラストの絶妙な切り上げと共に、オルソの若き日のエピソードも刊行してほしくなる。2021/09/08
ナミのママ
57
読み応えあり、そして思いがけない展開となった。我が身が生死をさまよい、目覚めた時に40年前に生き別れた恋人と娘を思い出した殺し屋。初老になり、まだ現役の大男。組織のボスに逆らい、2人に会いに旅に出るが、途中で命を狙われる。しかしこの本のメインは出会いの旅ではない。組織と、組織に生きる者たちと、出会いと。何より男の心の動きに目が離せない。人は変われるのか、そんな事を思いながら読んだ。2021/03/13
巨峰
49
イタリアンノアールって、初めて読むかもしれないけど、マカロニウエスタンを産んだ土地、手慣れた感じもするストーリーでした。老いた名殺し屋は、何十年も前に別れた妻子を探すたびにでるが……ロードムービーのような道行に行く手を拒む敵が立ちふさがる。螺旋模様に描かれるストーリーとアクションが良かったと思う2021/12/30
しゃお
43
読書会に向けて再読。再読してみると結末は最初の方や中盤などでも暗示されているのが良く分かります。そしてツッコミどころも見えてきます(笑)。とはいえ全体的に読みやすく映像的で、特にアクションシーンは目に見える。意外な展開を見せる様子なども含めてやはり好みな作品です。ラストも格好いい! 作中で描かれていない部分は想像して楽しめるのもいいですね。なので、続編は不要かな~。2021/05/15
星落秋風五丈原
41
妻子といったって随分離れているためオルソを待っているとは考えられない。彼が向かうことで二人に危険が及ぶのはわかりきっているのに、命のリミットが目の前に来た途端に殺し屋の理性が吹っ飛んでしまったわけだ。もちろんその道行がスムーズにいくわけもなく、次々とオルソの前には殺し屋やトラブルが。オトシマエを付けないと前には進めないのだ。とはいいつつ、辛く苦しい事ばかりではない。還暦を過ぎているというのに、オルソは男女にモテまくる。妻子一筋のはずなのに、据え膳は食い、濃厚ベッドシーンを披露(心臓に悪くないのか+笑)。2021/08/17