内容説明
建設現場で元警官の惨殺死体が発見された。首にはドアノブの軸が突き刺さり、一面血の海だったが、鑑識の結果、大量出血したのは被害者でなく現場から姿を消した女だと判明する。特別捜査官ウィルは車の側に残された銃が別居中の妻アンジーのものと知り動揺する。現場となった建物の所有者は揉み消されたレイプ事件の容疑者。やがて事件の背後に恐るべき闇が浮かびあがり―「ウィル・トレント」シリーズ。
著者等紹介
スローター,カリン[スローター,カリン] [Slaughter,Karin]
エドガー賞にノミネートされた『警官の街』などで知られるベストセラー作家。これまで19作の作品を発表
田辺千幸[タナベチユキ]
ロンドン大学社会心理学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
339
もはや事件は添え物程度。ウィルとサラの恋愛のスパイスとして殺人が起きている感じ。スパイスということでいえば、アンジーがメインとなる今作品は格別。事件のからくりは中盤でほぼ予想がつき、あとはそれまでヒールだったアンジーにどこまで感情移入させるか勝負。いよいよ佳境に入ったあたりで、都合よくアンジーがふらっと病院に現れる展開はいかがなものかと思ったが、やはり続きは気になる。サラの恋愛に対してやたら浪花節な性格は、海外作品では珍しいくらい日本風。こういうのもちゃんとウケるんだなというのが新鮮。2019/12/22
ゆいまある
113
かなり複雑な話。アンジー含め複数の行方不明者、複数の遺体と意識不明の重傷者、それらが皆血縁関係でしかもアンジーに似てると来てる。それぞれの特徴を覚えておいてまた冒頭から読み返す。それだけの手間をかける価値はあるのだが。中盤唐突に出てくるデニーという名前は重要。ウィルの妻アンジー。アンジーはウィルを必要としている。だけどそれは愛じゃない。ウィルは必要としてくれる人を放っておけない。だけどそれも愛じゃない。傷ついていてうまく生きられないアンジーが好きな私は二人によりを戻して欲しかった。2021/11/04
のぶ
94
ウィル・トレントを主人公とするシリーズですが、本作は別居中の妻アンジーを中心とした話でした。建設現場で発見された元警官の惨殺死体。一面血の海だったが、大量出血したのは被害者でなく、現場から姿を消した女だと判明する。さらに現場に残された銃がアンジーの物と判明する。真相を求めウィルは奔走する。物語の前半にアンジーは登場しません。後半になりアンジーの意外な周辺関係が徐々に明らかになってくる。長いのですがとてもよく練られたプロットで、飽きることなく最後まで導いてくれる。シリーズ最高傑作だと感じました。2020/02/12
キムチ
70
知り合いに言わせるとシリーズ最高!と。8作目から入る変人読み。でもしっかり、読める・・人間関係のキャラ立ちがはっきりしている事と、ディープな相互関係、底流を流れる「愛する事」の倫理観・表現法の食い違いががっつり卍の様に食い込んで行き、心理的にも血が流れる。ウィルとアンジーのそれの壮絶さだけで6割余りはあるんじゃないか?!アメリカという国の警察の在り様だけでもげっぷが出たが、其処を超えると人の在り様の二面性が面白く、短絡な善悪論で斬るチャラい小説が読めなくなりそう2021/09/10
星落秋風五丈原
62
何者か(男)から身を守るために部屋に立てこもっている誰とも知れない女性の三人称描写。女性が抱えているのは自分の娘であり、胸にナイフが突き刺さっている。意識はない。もう死んでいるかもしれない。さて、この女性或いは娘は、主要人物の誰と関係があるのか? 相変わらず冒頭の掴みがうまいカレン・スローター。次に登場するのは特別捜査官ウィル・トレント。チームに加わった検視官サラ・リントンとはラブラブで、皆に隠そうとしても出会えば笑顔がこぼれそうになるほど幸せいっぱいだ。だが、こんな平和な風景が長く続くはずはない。2023/03/14
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