内容説明
記憶を吸い取る“ポラロイドカメラ”を手にした謎の男が現れる『スナップショット』、森林火災が迫る町で起きた不可解な銃撃事件を追う『こめられた銃弾』、スカイダイビング中に不思議な雲に迷い込んだ男の追憶『雲島』、奇妙な雨が降り、あらゆるものが命を奪われていく『棘の雨』の4篇収録。デビュー作にしてブラム・ストーカー賞に輝いたモダンホラーの奇才が放つ、怪奇幻想文学中篇集。
著者等紹介
ヒル,ジョー[ヒル,ジョー] [Hill,Joe]
『ファイアマン』、『NOS4A2‐ノスフェラトゥ‐』でNYタイムズ・ベストセラーリスト第1位を獲得した人気作家。『ハートシェイプト・ボックス』はブラム・ストーカー賞や国際スリラー作家協会新人賞を受賞、短篇集『20世紀の幽霊たち』(いずれも小学館)は輝かしい受賞歴を誇り、ガブリエル・ロドリゲスによりコミック化された6巻にわたる『ロック&キー』シリーズはアイズナー賞に選ばれている。米国ニュー・ハンプシャー在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
115
怪異譚、悲劇、青春恋物語にロードノヴェル。そのどれもにヒルならではのテイストが満ちている。原題は“Strange Weather”、即ち『異常気象』だ。人々の異常“気性”が書かれている。心の奥底で抱いている不平不満、本音がある。あまりにストレート過ぎるので時々目を背けたくなる。そこにある意味“自分”を見出してしまうからだ。心の中に留まるどんよりとした重い雲のような感慨を素直に文章にするのは何とも難しい。深い霧の中で一片のメモを見つけるようだ。本書の感想を的確に示す晴れ間までしばらく時間がかかりそうだ。2020/04/09
KAZOO
106
いわゆるモダンホラーという作品で中編小説4編が収められています。最近スティーヴン・キングの作品をあまり読んでいないのでこの作品で若干満足させられました。若いころや最近のキング作品をイメージさせてくれるものがありました。記憶を人から盗んでしまう話の「スナップショット」、とがった鉱物の雨が降ってくる「棘の雨」などはわたし好みの作品でした。また作品ごとにイラストがついているのが楽しめます。2025/03/14
眠る山猫屋
64
四話どれも違う味わい。『スナップショット』は記憶を盗み奪うポラロイド、優しかったおばちゃんに忘れられた少年は痴呆ではない事に気づき…。カメラもおぞましいが操る“フェニキア人”がなんだか憐れ。彼は何の記憶を消したかったんだろう。大作『こめられた銃弾』は銃社会の呪いを描く。なんて幕切れだ!『雲島』はラピュタみたいな雲島にスカイダイブしちゃったヘタレ青年の魂の彷徨。コメディタッチ、自分を見つめ直して前に進む主人公、好きだなぁ(なかなか前進しないところとか)。そして四話目2020/11/04
sin
61
『スナップショット』昔、写真に撮られると魂を捕られてしまうと云う風評があった。『こめられた銃弾』胸糞の悪い話だ!「もしも自分が銃をもっていたら」最期に突き付ける勝ち誇った言葉は、力に酔いしれる人間にとって銃は分不相応だと云う証に過ぎない。奴等がその力を自分の持つ能力と思い違いしている限り銃を必要とするバカは居なくならないのだろう。車や権力も同じ作用をもたらすのかもしれない。『雲島』アオハル?アニメよりリアル、そして“浦島太郎”いや“ジャックと豆の木”。『棘の雨』怨みは厄介な自己中に変わりかねない。2019/11/09
ぐうぐう
38
ジョー・ヒルの最新中編集。ヒルがあとがきで述べているように、中編というよりも短めの長編と言った方が正確な長さの小説が4作収録されている。そして、その長さこそが、ヒルには一番合うのだと実感もできる。ヒルの小説を読んでいてつくづく思うのは、彼は父の影響を隠そうとしていないということだ。その無邪気な、あるいは素直な姿勢が、結果として父の作風を突き抜け、個性へと繋がることをヒルは心得ているのだろう。原題は『STRANGE WEATHER』。(つづく)2019/10/01
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