内容説明
1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていた―MWA賞受賞作家が放つ、傑作犯罪小説!ハメット賞受賞作。
著者等紹介
バーニー,ルー[バーニー,ルー] [Berney,Lou]
『ガットショット・ストレート』(イースト・プレス)、“Whiplash River”、エドガー賞、アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞など多くの賞に輝いた“The Long and Faraway Gone”の3作の長編小説をこれまでに上梓。短編小説はニューヨーカー誌やプッシュカート賞などに取りあげられている。米国オクラホマ・シティ在住
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
愛媛県生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
152
なるほど、ラストまでひたすらフェイクな終焉は物悲しくも悪くない…ケネディ暗殺に巻き込まれたギャングの組織からの逃亡劇。序盤は乱発する人物や場面の把握に戸惑うも、追うと逃げるの構図がハッキリしてからはドキドキ増すばかり。それが中盤で、もう最初から語られていたものの全く場違いの逃走母子と重なり出すと、展開が思いの外ゆるりとした印象に変わる。壮絶かつ執念深い緊張感の中での出逢いや徐々に慈愛の深まる様は実にハートフル。各々が最後にきちんと迎えた結末は、変わった、いや変えられた、その意外性に驚かされながらも素敵だ。2020/06/11
ずっきん
135
惹句はウィンズロウの「必ず忘れがたい1冊になるだろう」まさにその通りのクライムロードノベル。組織から逃亡する男、追う殺し屋、町から飛び出した母と小さな娘たち。著者は予想を逸らし、かわし、陳腐でクールでロマンチックなストーリーに引き込んでいく。そして迎える結末のなんたる余韻。目を閉じてギドリーが見る情景と思いを深く追体験する。エピローグで神視点に立たされる読者は、全てを思い出して胸を焦がし、身悶えるだろう。命は虫けらのように軽いのかもしれない。だが人生はドラマチックだ。幕切れの素晴らしい物語は何にも勝る。2019/09/22
ケイ
116
今年の11月に読もうと思ってとっておいたクライムノベル。11月はケネディが暗殺された月。最近週末夕方にジョギングしていると、河の対岸から聞こえてくる「朝日の昇る家」のサックスが、この話の舞台のニューオリーンズと重なり、尚更楽しく読んだ。前半は、女性に対してそれを格好いいと思うのでは情けない、ハードボイルドでなく勘違いだ、と思う男女間の描写が少々不快に。追っかけっこになってからは、気にならず、次第に純情かということかと思う。最高!とは言えないけど、色んな作品を読んでみたいな、この作家さん。2020/11/11
aquamarine
107
ケネディ暗殺に、させられた仕事が関係しているのではと気づき、組織からの逃亡をはかるギドリー。一方アル中の夫から娘二人と犬を連れ逃げ出したシャーロット。二人は道中で出会い共に行動することになる。ギドリーに対する組織に怒りと理不尽を覚え、シャーロットの母としての強さと迷いに打たれ、二人に寄り添っているうちにいつしかロードノベルは角度を変える。心を残しながらも私はいつしか二人を置いて、追手のバローネにすっかり惹かれていた。そして、もう!なんてこと!…到達した最後の一章。エピローグ。思わず感嘆のため息が出た。2020/05/22
のぶ
103
一冊にハードボイルド、ロードノベル、ノワール、ロマンス等、いろんな要素の詰まった面白いエンタメ小説だった。物語はまず、フランク・ギドリーという犯罪組織の幹部がいる。一方で、シャーロットという夫から逃れてきた訳ありの主婦がいる。時代は1963年でケネディ大統領が暗殺されたというニュースが飛び込んでくる。ギドリーは知らないうちに暗殺計画に関わっていた事を知る。そこで逃避行が始まるが、途中で娘を連れたシャーロットと出会い、家族連れを装いともに旅する事になる。史実を背景に使って、読ませどころの多い作品だった。2020/01/12