内容説明
19歳の医学生がERに搬送され亡くなった。当直医サラは、生々しい暴行の跡が残る彼女から最期の言葉を託される。あいつを止めて、と。やがて起訴された男子学生の母親は、偶然にも研修医時代のサラの同僚で、裁判後の動揺の中で妙なことを口走った。今回の件は15年前のサラの事件につながっていると。サラの恋人で捜査官のウィルが捜査を開始するなか、再び大学生が失踪し―。シリーズ最高峰!
著者等紹介
スローター,カリン[スローター,カリン] [Slaughter,Karin]
CWA賞スチール・ダガー賞受賞『警官の街』(オークラ出版)を始め、『プリティ・ガールズ』『グッド・ドーター』など20作を超える作品をNYタイムズ・ベストセラーリストに送り込んでいる人気作家。図書館を支援する非営利団体Save the Librariesプロジェクトの創設者。現在はジョージア州アトランタ在住
鈴木美朋[スズキミホウ]
大分県出身。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
62
<ウィル・トレントシリーズ>11作目。サラの感情表現が好きだ。今作はそのサラが主役だが前半は辛い内容だった。19歳の女子医大生がER搬送後に死亡する。当直医だったサラは暴行の跡が残る彼女から最後の言葉を託された。性被害は深い傷を残す、それは月日が流れても社会的地位も無関係だと繰り返し綴られる。託された言葉を守るため事件の核心に突き進んでいくサラ、その周囲にはいつもの人物たちがいる。富裕層の暮らしぶりが日本とは桁違いで本筋とは別に想像力をかきたてられた。とにかくこのシリーズが好き、読み終えるのが残念だった。2023/12/19
星落秋風五丈原
51
19歳の医学生がERに搬送され亡くなった。当直医サラは、生々しい暴行の跡が残る彼女から「あいつを止めて」と最期の言葉を託される。やがて起訴された男子学生の母親は、偶然にも研修医時代のサラの同僚で、裁判後の動揺の中で「今回の件は15年前のサラの事件につながっている」と妙なことを口走った。過去のサラの事件の内容もかなり凄惨であり、現在で進行している事件も被害者を行為で傷つけた後も、長く苦しめる要素を含んでおり、正直本当に気持ち悪くなる。2024/07/29
future4227
48
トレント捜査官シリーズ11作目。今起きているレイプ事件をきっかけにサラの15年前のレイプ事件の真相が明らかになる。犯人も逮捕され、事件は解決していたかに思えたが、実は想像もつかないスケールで事件の闇は広がっていた。前半の進みが遅くてちょっとイラっとくるが、アマンダ登場でスカッとする展開に。そして最後のサラの選択。相手への思いやりなのか、自分の為なのか、なかなかに解釈が難しいシーンだ。前者の方がサラらしいと思うが。以前日本であった某大学のレイプサークル事件を想起させられる。いくら高学歴、高収入でもねぇ…。2024/02/15
たまきら
42
77ページを読んだときに、すべてがわかった。今まで読んできたこのシリーズが持つ、権力を持つ男への、鈍感で残酷なまでに無関心な男(娘を持つ父親には相変わらず甘い著者さん)への怒り。ヴァギナを持つ者にしかわからぬ恐怖体験。性的虐待を受けた者が強制的に入部させられる被害者クラブと同じぐらい、加害者クラブもリアルだ。権力者に少女を斡旋していたエプスタイン。五輪メダリストを含む数百人の患者を性的に搾取していた医師ナサール。この小説は小説でありながら現実であり、告発の書だと思う。恐ろしいが一読の価値がある一冊だ。2024/07/07
Shun
35
<ウィル・トレント>シリーズ11作目。邦訳版の本作は前作から実に2年待って漸く読むことが叶いました。深く考慮していませんでしたがあとがきによると前作で物語は一区切りついたとのことで、今作からの怒涛のシリーズ再スタートを期待したい。待った甲斐もあってか、11作目となる本作でもシリーズ最高峰といつも通りの感想。また毎度原題とかけ離れたタイトルの本作ですが、登場人物の名が載るのは初めて。主要人物でウィルの婚約者サラにとって未だトラウマとなっている辛い過去と、サラ自身が看取った暴行被害者の最期の願いがリンクする。2023/12/19