内容説明
19世紀、アメリカ西部。故郷から遠く離れた地で、スザンナは試練に見舞われていた。夫の暴力からどうにか逃れてこの地にたどりつき、教師として身を立てようと決心したのだが、よそ者を嫌う住民たちから邪険にされる日々―そんななかスザンナを守ってくれたのは、優しい目をした軍医ジョーだった。自らも苛酷な人生を歩んできたジョーは、スザンナの傷ついた心にそっと寄り添い…。
著者等紹介
ケリー,カーラ[ケリー,カーラ] [Kelly,Carla]
大学でラテン・アメリカの歴史を学ぶ。歴史的な興味から、西部開拓時代を舞台にした短編を執筆したのち、英国摂政期のロマンスを手がける。執筆活動の傍ら、今も歴史の研究を続けている。RITA賞を2回受賞するなど、権威ある賞の受賞歴も多数。さまざまな階級の人々の暮らしを温かな目線で描き、圧倒的な支持を得ている。大学教授を引退した夫とともにアメリカのユタ州に暮らす
佐野晶[サノアキラ]
東京都生まれ。獨協大学英語学科卒業。友人の紹介で翻訳の世界に入る。富永和子名義でも小説、ノベライズ等の翻訳を幅広く手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
41
数年前に原著を読んで深く感動したロマンスです。この人の本で失望したことが一度もありません。南北戦争の痛みと憎しみが言えないワイオミング州に、親戚を頼って単身引っ越してきた女性が主人公。冒頭の息子に送られた手紙から伝わってくる彼女の苦境。そして彼女を支える優しい軍医…本当にこの作者の描写は素敵です。原著を読んだときには気づきませんでしたが、登場する同名の人たちに本が捧げられています。2024/02/11
harutamano
12
過酷。ヒロインの境遇も過酷ならたどりついた先で受けるしうちもなかなかに過酷。けれどもひるまず自分の言葉で語るヒロインにそら心の鎧もポロポロ剥がれますわ軍医ー!!戦場よりも過酷かもしれない軍の砦で、たあいないことに幸せを見出す人々が描かれていてロマンスもよいけどこういう群像劇がすき。カーラ・ケリー良きです。2023/11/18
aiko
8
元夫のDVから逃れ、遥か遠い西部に辿り着いた教師のスザンナ。深く傷ついていた彼女と軍医のジョーが信頼と愛情を育んでゆく課程で、お互いの苦境と苦悩がゆっくりと溶かされていく様が大変良かったです。 インディアンとの闘争に明け暮れるララミー砦での厳しい生活や人間模様の善悪等、歴史に裏打ちされた読み応えあるロマンスでした。戦争そのものよりも、後方にいる人々の戦いと人間性をじっくり描くところが同じカーラ・ケリー作品でナポレオン戦争が舞台の『籠のなかの天使』と対になる作品と思います。続巻が欲しい読み応えでした。2023/11/13
宴
5
海軍3部作もいいと思ったけど、こっちのほうが好みかな。従姉妹は馬鹿だとは思うけど、主人公たちのさらっとした見下しもなかなかひどい。2024/08/26
イコニカ
5
原書がKindleで100円だった時があるので、英語で一度読んだのだけど、日本語版出たので改めて読む。英語で曖昧だったあれやこれやが日本語ですっきりわかって感動。翻訳家さんありがとう。なかなか日本語訳されない19世紀アメリカのロマンス、かなり悲惨な部分もあるけど、読み応えたっぷり。よくあるロマンス小説とはひと味違うカーラケリーの本はもっと読みたいので、Mirabooksさんにはがんばってもらいたい。2023/11/20