内容説明
1941年。狙撃学校を優秀な成績で修了した大学院生のミラ・パヴリチェンコは、ドイツのソ連侵攻を受けて軍隊に志願した。劣勢の前線に送られ、日々仲間を失う苛烈な状況のなか、ライフルを手にひたすら己の任務を遂行する。やがて凄腕の狙撃手として知られるようになったミラは、戦局の鍵を握るアメリカへ渡り支援を仰ぐ派遣団に抜擢されるが、そこには合衆国大統領の暗殺計画が待ち受けていた―。
著者等紹介
クイン,ケイト[クイン,ケイト] [Quinn,Kate]
NYタイムズやUSAトゥデイのベストセラー作家。ボストン大学で古典言語の学士号と修士号を取得したのち、作家の道へ。古代ローマを舞台にした4作と、イタリアのルネサンス期を描いた2作を発表後、20世紀を舞台にした『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズ・コード』『狙撃手ミラの告白』(以上ハーパーBOOKS)を上梓。複数の言語に翻訳されている。夫と3匹の保護犬とともにカリフォルニアに暮らす
加藤洋子[カトウヨウコ]
文芸翻訳家。主な訳書にクイン『ローズ・コード』『亡国のハントレス』『戦場のアリス』、ジョーンズ『結婚という物語』(以上ハーパーコリンズ・ジャパン)、ブラウン『良妻の捉』(集英社)、ボーム『きみがぼくを見つける』(ポプラ社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
44
いつもケイト・クインさんの本は読まされる。この本も580ページを一気読み。設定が第二次世界大戦独ソ戦の女子狙撃手の話。逢坂冬馬「同志少女敵を討て」と同じなんだけれどこちらの方が遥かに凄い。主人公ミラや登場人物の造形、話の運び、構成など。「戦場のアリス」や「亡国のハントレス」で十分に分かっていた筈なのに今回読んでまた再認識させられました。もっと驚いたのは実話を元にしたミステリー仕立てになっている事。とにかく読ませるのは戦場で309人を仕留めたミラがアメリカで活躍する話と入れ子細工になっている構成の妙。★4 2025/05/29
星落秋風五丈原
34
帰国後パヴリチェンコは再び女子狙撃教育隊の教官として後進の指導に当たったが、赤軍はその名声を利用して多くの女性を新たな狙撃手候補生として獲得した。第二次大戦において赤軍は約2000人の女性スナイパーを戦場に送り込んだが、パヴリチェンコのように終戦まで生き残れたのはその内の500名に満たない。自身の戦争体験によるPTSDによりアルコール依存症となり、1974年10月、58歳で病死。物語は、敢えてミラの輝かしい部分にのみスポットを当て想像を膨らませたと言える。2023/10/27
わたなべよしお
29
第2次大戦を舞台に女性の生きざまを描き続けるケイト・クインさん。今回はロシアの狙撃手。いつものように読み応えがあり、上質な読み物だった。オデッサ、セバストポリの戦線と米国を舞台にしたサスペンスを組み合わせて、作品全体に深みがあった。それにしてもミラの相棒(のち伴侶)が「亡国のハントレス」の主人公の腹違いの兄~なんていうのにもニヤリ。2023/11/14
もえたく
27
『戦場のアリス』『亡国のハントレス』『ローズコード』に続き、戦下での女性達の知られざる活躍を魅せてくれる歴史大作第四弾。ナチスドイツの兵を300人以上仕留めたロシアの凄腕女性狙撃手が、アメリカの支援を受ける為に使節団の一員として派遣されるが、ルーズベルト大統領暗殺計画に巻き込まれて…。実在した彼女の回想録を元にしているため、これまでの作品よりもエンタメ性に欠ける部分があるが、ルーズベルト夫人の親友になったり、チャップリンらと「独裁者」を観たりと興味深いシーンが満載。読み応えありました。2023/10/13
アカツキ
18
ドイツ軍の侵攻を知ったミラは募兵事務所へ向かう。凄腕スナイパー"死の淑女"として知られるようになったミラは自分の連帯を持つまでになるが戦闘で負傷。回復したものの戦場ではなく支援を求める派遣団の一人としてアメリカへ行くことに。そこでは何者かによる米国大統領の暗殺計画が…。ややロマンス色が強いが面白かった。自分の半身ともいえる無口な相棒コスティアと天然人たらしのキツェンコ中尉、二人の男性から愛されるミラ。羨ましいけれど羨ましくならない状況。立ちはだかる最初にして最後の壁をぶち抜いてくれてスッキリ。2023/10/11