出版社内容情報
本書は各章で英米哲学のテーマとキーテキストを設定し、そのテーマとテキストをめぐり、時代や地域などの背景が異なる哲学者や文学者の思考との比較考察を展開する。英米圏の哲学的思考を時代や地域といった枠に過剰に縛ることなく、そのテキストとの対話を誘発してやまない新鮮な視点・文脈を明示する。懐疑をめぐる多彩な思索を重ねつつも、多様な論者が触発し合って展開してきた英米哲学の挑戦の足跡をたどり、その思考の現場へと読者を招待する。
目次
幻影と現実―共同行為を通じて形成される習慣
人情と非人情―「人間的自然」を眺める観点の共同探究
信念と懐疑―「淋しさ」の源と処方箋
自然と人為―中味と形成をめぐって
判断と対話―奥にあるものとの継続的な関わりかた
懐疑と覚醒―経験から哲学する
哲学と生き方―見ることを学ぶ
日常と声―他者とともに生きる
普遍と個別―「私」の下す道徳判断
自然とイデア―客観的な「善」の在処を求めて〔ほか〕
著者等紹介
勢力尚雅[セイリキノブマサ]
1969年福岡県北九州市に生まれる。現在、日本大学理工学部教授。専攻は哲学・倫理学
古田徹也[フルタテツヤ]
1979年熊本県水俣市に生まれる。現在、東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専攻は哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バケツ
2
ある考えを別の人物が批判して新たな考えを生み出し、それをまた別の人物が批判して……と続いていく。既知の文学と絡めた章もあり面白い本だった。15章で最終的に示された問いへの答えは月並みではあるが、ここまで七転八倒の連なりを追ってきた経験がそれを輝かせる。しかしこの構成は初学者が試験問題を解くには向いていないだろうな。持ち込み可だとしても探しにくそうだ。索引を使えばマシだろうか。2025/01/27
masasamm
0
放送大学の教科書。放送大学の哲学は本当に難しい。そもそも哲学自体が難しいのかもしれないが、なんとか少しでも理解しようと努力した。懐疑が対話を生み、探究につながるということなのだと理解したが、そう簡単にまとめると絶対に違うのだろうと思う。とにかく学び続けるしかないのだ。2024/01/26
rokujo
0
放送大学教材として読了。副題通り、英米文学を文学をコンパスとして、懐疑論を中心に読解していく。他の哲学系科目に比べると、文学が関連しているため読みやすく、懐疑論も論旨がスマートに整理されていてわかりやすく印象にも残った。カミュの「ペスト」や頻繁に引用されるヒュームが印象的。2023/11/01