目次
人々の営みと自然環境、歴史時代への歩み
三国の鼎立と統一新羅
渤海の興亡と高麗の興隆
高麗時代の社会と政治
高麗後期の社会
朝鮮前期の社会
朝鮮後期の社会
開港期の朝鮮
日本の政治的干渉の強化と韓国併合
三・一運動と「文化政治」
日本の中国大陸進出と戦争
朝鮮半島における南北分断体制の成立
南北朝鮮における体制変化と独裁
国際秩序の変容と南北の体制変化
現代の朝鮮半島と日本
著者等紹介
須川英徳[スカワヒデノリ]
1957年群馬県に生まれる。1982年東京大学経済学部経済学科卒業。1992年東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程理論経済学・経済史学専攻修了(博士(経済学))。1995年横浜国立大学教育学部助教授、同教育人間科学部助教授・教授、東京学芸大学連合大学院学校教育学研究科助教授・教授(兼担)、横浜国立大学大学院都市イノベーション学府教授を経て、放送大学教授。専攻は朝鮮中世近世社会経済史
三ツ井崇[ミツイタカシ]
1974年福井県に生まれる。1996年横浜国立大学教育学部文化研究課程卒業。2002年一橋大学大学院社会学研究科博士課程地域社会研究専攻修了(博士(社会学))。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は朝鮮近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
175
制度や習俗の話は難しかったが、社会の土台から考えていく姿勢は説得力がある。この地域の民族アイデンティティは複雑だ。三韓高句麗の鬩ぎ合いと隋や唐の圧迫、勢力を伸ばした新羅と渤海の対立を経て高麗による半島統一、契丹や女真との戦い、李氏朝鮮における血で血を洗う粛清と苛税による物流の停滞…。思うに、一国の中で流動的な戦国乱世を経た日本では維新が速やかに進んだのに対して、中国に圧迫され続け王朝内部で権力争いに明け暮れた朝鮮の近代化は難しかったろう。列強に頼り権力にしがみついた高宗の悪政に人々は塗炭の苦しみをなめた。2023/06/20
夜間飛行
171
日中戦争が始まると朝鮮人の動員を図り皇民化政策が進められた。その際唱和させられた「皇国臣民の誓詞」の音読をラジオで聴いて、驚いた。一般用と児童用のうち児童用を掲げると、《一 私共ハ。大日本帝國ノ。臣民デアリマス。二 私共ハ。心ヲ合セテ。天皇陛下ニ。忠義ヲ盡シマス。三 私共ハ。忍苦鍛錬シテ。立派ナ強イ。國民トナリマス。》というものである。こんなのを隣国の子供たちに唱和させていたことを知り、唖然とした。もっと早く知りたかった。自虐史観とかいう言葉で我々の知る権利を奪う風潮も許せない。日本の教育の歪みが残念だ。2023/06/28
夜間飛行
166
日露戦争の動機がそもそも(日露が互いに韓国と満州の権益を確保する)満韓交換論をロシアが拒否したことにあり、日本の韓国への野心は日露戦争前からあったことがわかる。勝利した日本は日本語初等教育を押しつけ、次官級官吏に日本人を任用させ、軍や警察も掌握した。このころ朝鮮知識人の間に壇君ナショナリズムが現れた。韓国併合後は、要職を殆ど日本人が占め、朝鮮人の参政権はなかった。今からすると狂気の沙汰だが、こうした動きの底には、西欧とそれに続く日本が文明的に進んでいるという誤った史観が常識として共有されていたように思う。2023/06/24
夜間飛行
157
大戦終結と共に南北の分割占領下で建国運動が始まるが、李承晩と金日成の後に米ソがおり、米ソの対決がそのまま国の分断に繋がった。李承晩退陣後の過渡期を経てクーデタで権力を握った朴正熙は、日韓国交正常化によって経済援助を引き出し工業化を進め、国民所得を急増させた。北朝鮮では金日成の政権下で長男の金正日が、中ソと距離を置く「主体思想」を広める文化活動を推進する。70年代までの南北朝鮮はいずれも歪みを抱えており、それが80年代以降、南は民主化運動へ、北は核兵器開発を進めつつ周辺国との関係模索へと向かう前提となった。2023/07/01
ドットジェピー
5
面白かったです2021/11/03
-
- 和書
- 死への旅 ハヤカワ文庫