出版社内容情報
ヘーゲル哲学は、多くの人々がそれを一級の哲学であると認めるにもかかわらず、哲学的に評価されることがほとんどない奇妙な哲学である。実際、ヘーゲル哲学には評価されるべき豊かな哲学的内実が多数隠されている。本書はそれらを浮き彫りにすることを目的に、若きへーゲルの思想を考察、彼の著書である『差異論文』『信仰と知』『イェーナ実在哲学』『精神現象学』『論理学』を読み解いている。終章では日本もしくは東洋に特有の思想と考えられがちな「無」の思想が、実はヘーゲル哲学とも相通じていることに言及。
1.ヘーゲル哲学をどう読むか
2.若きヘーゲルの思想Ⅰ
3.若きヘーゲルの思想Ⅰ
4.『差異論文』を読むⅠ
5.『差異論文』を読むⅡ
6.『信仰と知』を読む
7.『イェーナ実在哲学』を読む
8.『イェーナ形而上学』を読む
9.『精神現象学』を読むⅠ
10.『精神現象学』を読むⅡ
11.『精神現象学』を読むⅢ
12.『精神現象学』から『論理学』へ
13.『論理学』を読むⅠ
14.『論理学』を読むⅡ
15.『論理学』を読むⅢ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大根役者
1
入門者にオススメ。放送大学のテキストとして書かれたもので、とても読み易かったです。この本の前に西研の「ヘーゲル大人のなり方」を読んだけど、この高山守さんの本の方がヘーゲル哲学のポイントを的確かつ簡単に書いてありました。ただし弁証法の記述が繰り返し書かれてるので少々飽きますが。しかし読解力の低い私にはヘーゲル哲学の理解には合ってました。2016/12/05
Ironyuc
1
まるで変奏曲だ。これまでのヘーゲル哲学に対する論難は、全てその体系性に向けられてきたとし、本著では体系を度外視してヘーゲル哲学の核心である「弁証法」=「アンチノミー(矛盾)」というテーマを序章から終章まで一貫する。全体の構成は、時系列順にヘーゲルの著作が配置されている。しかし先述の通り、全章が「弁証法」の変奏的な内容なので、後半の「精神現象学」と「論理学」の章だけ熟読すれば、本書の内容の9割は把握できる。とはいえ、同主題を15回の変奏を通じて理解するので、しっかりと「弁証法」の構造が頭に残る。2013/02/17
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