出版社内容情報
日本の伝統演劇と呼ばれる舞台芸術は,主にテキストや譜面によって伝えられてきた西洋演劇の古典とは異なり,数世紀にわたり人から人へと伝承され,現在もなお演じ続けられている。その結果,世界的に貴重な「舞台芸術の知」として,多くの演劇人・芸術家から注目されてきた。能・狂言,人形浄瑠璃(文楽),歌舞伎を取り上げ,代表的な作品と理論的構造の理解を通して,演劇伝統が現代の日本および世界の演劇文化にとって持ちうる意味を考察している。
1.「伝統演劇」とはなにか
2.能の地平
3.能あるいは記憶の劇場
4.世阿弥の思考
5.狂言の言葉と身体
6.人形浄瑠璃と劇の言説
7.人形浄瑠璃の「世界」
8.音曲と語り物
9.歌舞伎と文楽
10.歌舞伎における舞踊
11.世話物の舞台
12.中国伝統演劇の現在
13.外部の視線-クローデル(1)
14.外部の視線-クローデル(2)
15.伝統演劇と現代