内容説明
クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』の9年前に刊行された先駆的作品がついに邦訳!奇妙な電報によって、摩天楼のペントハウスに集められた、街の名士8人。夜のパーティーと思いきや、それはおそるべき死のゲームへのいざないだった―ラジオから語りかける姿なき招待主が、1時間に1人ずつ、客を殺していくというのだ!密室状況のなか進行する巧緻な殺人計画。犯人は誰か、そしてその目的は?『九番目の招待客』の原作となったサスペンスフルなミステリー。
著者等紹介
中井京子[ナカイキョウコ]
立教大学大学院博士前期課程修了。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オーウェン
61
「そして誰もいなくなった」よりも早く出版されていたミステリ作品。 屋敷に集められた社交界にいるようなセレブたち8人。 姿が見えないホストがラジオから流れてくる音声。 それは1時間に1人客を殺していくという宣言。 脱出不可能になる屋敷で、どうやってこの惨劇を回避していくのか。 大概こういうタイプのミステリは客の中に犯人がいるものだが、それを予測する楽しさ。 そして現れる強烈な個性の犯人像。 ラストの締めくくりも潔いほどバッサリ終わらせる辺りも時代なのだろう。2024/05/10
みやび
14
「そして誰もいなくなった」の先駆け的作品ということで、どうしても比べられるのでしょうが面白かったです。ただ、集められた人々がどうしたら生き残れるのかわからないので、そんなグダグタするなら、犯人は黙って一人ずつ消してったらいいのに、、と恐ろしいことを考えてしまいました。。2024/05/10
koo
11
奇妙な招待状を受け取った8人が1ヶ所に集められ姿を見せないホストに1人1人殺されてゆくサスペンス。真犯人のトリックの実現性には疑問符がつきますし終盤に向けて失速が惜しいですが1ヶ所で次々と殺される恐怖感は中々のものでした。「ねじれた家」の例もありますしクリスティがこの作品のプロットを消化して改良したのが「そして誰もいなくなった」になったとしか思えません。特に冒頭の叙述的手法は本作でも見られておりクリスティがどう改良したか想像するのも楽しいです。いやあ貴重な発掘本ですね、一読の価値ありです。2024/02/29
Inzaghico (Etsuko Oshita)
7
原書は”The Invisible Host”というタイトルで1930年に刊行。帯にある「『そして誰もいなくなった』の先駆的作品」というのは嘘ではない(『そして~』は1939年の作品)。 クリスティの作品とは最後がやや異なるが、姿が見えない人間に声だけで操られる怖さにゾクリとする。互いが疑心暗鬼に陥っていく様子も怖い。真相はあっさりとしているが(当社比)、そこに至るまでのぞわっとした得体のしれない怖さ。佳品でした。2023/12/16
一柳すず子
6
確かにクリスティのに似てるかも。ゲストは狭いコミュニティの人々だし一晩の出来事なんでテンポ良く読めたが最後の告白が長かった。最初の死体の人はかわいそう。2024/09/29