内容説明
「迷宮入り事件とさまよいし魂の課」の長となったアスカーは、心臓発作で倒れた前任者サンドグレン警視が、スミラ失踪事件につながる重大な手がかりを追っていたことに気付き、独自に事件の調査を進める。アスカーは幼馴染で廃墟研究家でもあるマーティン・ヒルと協力して真相に肉薄していくが、連続誘拐殺人犯「山の王」もまたアスカーのことを標的に据えていた…。魅力的なキャラクター、サイコ犯との息詰まる攻防、意想外の展開。北欧警察小説の新たな傑作、ここに登場!
著者等紹介
デ・ラ・モッツ,アンデシュ[デラモッツ,アンデシュ] [de la Motte,Anders]
1971年生まれ。元ストックホルム警察の警官で、現在は国際セキュリティ・コンサルタントとして活躍しながら小説を執筆。2010年『監視ごっこ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)で作家デビューし、スウェーデン推理作家協会賞の新人賞を受賞
井上舞[イノウエマイ]
英米文学翻訳者。主な訳書に『ぼくはガウディ』『WAREHOUSE HOME』(パイインターナショナル)など
下倉亮一[シタクラリョウイチ]
スウェーデン語翻訳者。主な訳書に『減量の正解』(サンマーク出版)、共訳書に『つけ狙う者』(扶桑社)、『スティーグ・ラーソン最後の事件』(ハーパーコリンズ・ジャパン)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
70
連続殺人犯「山の王」はサイコパスのようだ。身辺に異変を感じるレオ。警察署内では孤立していたが幼なじみのマーティンと再会、協力して真相を追うことになる。もしやと思った人物が犯人かと思いきや…。閉所恐怖症には厳しい設定かもしれない。下巻になり作品全体は綺麗にまとまったが、前任者の事件が少しはっきりしない。シリーズ1作目としてはキャラクターも含めた登場人物紹介としてそれなりかと。次作も読んでみたい。2024/10/02
タツ フカガワ
49
犯行を重ねるたびに鉄道ジオラマに被害者を模した人形を置いていく“山の王”と名乗る人物に一歩一歩近づいていくアスカー。上巻で、ちょっと盛り込み過ぎではと書きましたが、これらがすべて繋がっていく展開に圧倒されました。加えて彼女の異動先の、マルメ警察署のもてあまし警官たちがじつは情報通、技術通、事情通、武闘派というキャラクターも魅力的。次作へ繋がる最後の一行、ぜひ邦訳で読みたいものです。2025/02/11
星落秋風五丈原
28
上巻で「迷宮入り事件とさまよえる魂課(直訳はどういう意味なんだろう)にようこそ!」と迎えられたレオ・アスカーは、心臓発作で倒れた前任者サンドグレン警視が、スミラ失踪事件につながる重大な手がかりを追っていたことに気付き、独自に事件の調査を進める。レオは幼馴染で廃墟研究家でもあるマーティン・ヒルと協力して真相に肉薄していくが、連続誘拐殺人犯「山の王」もまたレオのことを標的に据えていた。本人のコントロールできる範囲は少ない。敵としての利点は、正体がわからない点のみである。 2024/12/03
bapaksejahtera
17
主要登場人物が入れ替わり登場、その眼で物語が展開する本作。中に異質なのが主人公の女性刑事が異常な父親の薫陶により戦士として成長する何章かが挟まる。「山の王」と名乗る異常者が有力者の娘を誘拐した事件。左遷された主人公の手でその正体がバレる。その意外さ(だけ)は理解できるが、悪漢は一日48時間を与えられたように八面六臂に振舞う不思議、犯人当ての選に漏れた男は一体どうした等、筋書きに穴や伏線過多は目立つが、兎も角この作者の中では抜群に惹きつけた作品だった。最後に父との確執を経てのどんでん返し。次作も読みたくなる2025/04/22
こーらすまま
10
難解な北欧ミステリー、読みづらいかと思いきや予想外のテンポの速さと読みやすさにページ繰る手が止まらない!ヒロインの人格を形成した特異な子供時代もちょいちょい回想シーンとして挿入され、誘拐された女子大生とともにダブルヒロインを応援しながら一気読み。2025/02/05