内容説明
もし、あのとき、こうだったら?日本史の「仮定」を解く!些細な出来事が、後の世情を大きく変える転換点に!
目次
A 鎌倉時代のIF(もしも、石橋山で、梶原景時が「源頼朝を見つけたぞ!」と叫んでいたら…;源頼家が重病に。もしも、比企能員が慎重であったら…;モンゴルから国書がやって来た。もしも、鎌倉武士たちに教養があったら…;もしも、後二条天皇が若くして亡くならなかったら…)
B 室町時代のIF(もしも、足利尊氏が大好きな後醍醐天皇に反逆しなかったら…;もしも、足利義満がもう数年生きていたら…;もしも、畠山持国が、男としての自信にあふれていたら…)
C 戦国時代のIF(もしも、「あの人」が長生きしたら、早く死んだら、早く生まれたら…;もしも、浅井長政が織田信長を裏切らなかったら…;もしも、「本能寺の変」のとき、織田信長が逃げていたら…;もしも、豊臣秀頼が女の子だったら…)
D 関ヶ原の戦いのIF(もしも、鳥居元忠が、島津義弘に「かたじけない」と頭を下げていたら…;もしも、上杉軍が退却していく〓川軍の背中を襲ったら…;もしも、毛利輝元が大坂城に籠城したら…)
著者等紹介
本郷和人[ホンゴウカズト]
1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。専門は、日本中世政治史、古文書学。『大日本資料 第五編』の編纂を担当。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とん大西
129
もしも本能寺の変で跡継ぎの信忠が京都から脱出していれば…。もしも足利尊氏が後醍醐天皇に反逆しなかったら…。日本史のif-スペクタクルな出来事も些末な事もひっくるめて本郷先生が丁寧に紐解いてくれてます。こういったタラレバは歴史好きからするとツボ中のツボでゾクゾクしながら楽しく読んじゃいました。本書で登場するのは鎌倉時代から関ヶ原の合戦までのif数多。『日本では権威が権威として安定しやすい。だから歴史がぬるい』-この俯瞰的な考えに激しく納得です。グズグズの室町ifには「正に仰るとおり」と賛辞を送りたい。2021/01/24
パトラッシュ
76
歴史学で「もしも」を考えるのは無意味とされるが、そう仮定したくなる事例は多い。本職の歴史家が「もしそうなっていたら」を真剣に考えた本書は、ラノベ作家や漫画家の空想とは違う地に足のついた論証を示す。後醍醐天皇が即位しなかったり、関が原で東軍が敗れたかもしれない可能性が高かった事実に歴史の可能性を考えてしまう。ただほとんどの場合は歴史の進行が多少遅れる程度という常識的な結論に至るのは、逆に空想を排除した研究者の限界か。自分としては「死去時の秀吉に成人した優秀な息子がいたら」という仮定に最も心惹かれるのだが。2021/04/27
きみたけ
62
著者は東京大学史料編纂所教授で、日本中世政治史・古文書学が専門の本郷和人氏。もしも「浅井長政が織田信長を裏切らなかったら」とか「上杉軍が退却していく德川軍の背中を襲ったら」など、日本史の重要場面での「仮定」を題材に考察しています。日本中世、鎌倉~室町~戦国時代好きにはたまらない一冊。 日本の歴史において「仮定」の話はタブーかと思ってましたが、めちゃくちゃ面白かったです。「仮定」を考えることで実際の歴史の重みが伝わります。学校の授業で年号を丸暗記するより断然楽しい(と言うかためになる)と感じました。2021/10/14
チャーリブ
42
再読本。歴史にIF(もしも)はないと言われるが、本書は日本史の学者の本郷和人氏があえてその禁を犯してさまざまの歴史のIFを考察している。たとえば、石橋山の戦いで逃げる頼朝が敵に発見されて殺されていたらどうだろうか?著者の考えでは、「上に立つ人」が代わっても東国の在地領主の不満が消えぬ限り時間はかかっても似たような幕府が東国に生まれてくる。ある意味、鎌倉幕府は東国の独立戦争だったというわけだが、日本国が完全に二分しなかったのはやはり天皇制のおかげか。日本史における東と西の問題は興味がつきない。2022/05/04
禿童子
41
鎌倉から関ヶ原まで、もしもあの人が違う行動・判断をしたら歴史はどう変わったか?日本史トリビアを歴史家が読み解くという趣向。恩賞のために命をかける武士。鎌倉幕府が滅亡したのは元寇のため。朝鮮征伐が豊臣政権凋落の原因。どちらも恩賞として分ける土地がなかったから。天皇家については本郷先生の評価が揺れ動いています。2022/01/06