出版社内容情報
『少年と犬』(第163回直木賞受賞)馳星周氏絶賛!
「人は犬にいかに癒されるか。ケッチャムは暴力と流血の中でその事実を綴る」
『隣の家の少女』『オフシーズン』に次ぐ、待望の復刊!
老人が愛犬と共に川釣りを楽しんでいる。そこへ少年が三人近づいて来た。中の一人は真新しいショットガンをかついでいる。その少年が老人に二言三言話しかけたかとおもうと、いきなり銃口を老人に向け金を出せと脅した。老人がはした金しか持っていないと判るや、その少年は突然、銃を犬に向けて発砲し、頭を吹き飛ばした。愛犬の亡骸を前に呆然と立ち尽くす老人。笑いながらその場を立ち去って行く少年たち。あまりにも理不尽な暴力!老人は“然るべき裁き”を求めて行動を開始する。
内容説明
老人が愛犬と共に川釣りを楽しんでいる。そこへ少年が三人近づいて来た。中の一人は真新しいショットガンをかついでいる。その少年が老人に二言三言話しかけたかとおもうと、いきなり銃口を老人に向け金を出せと脅した。老人がはした金しか持っていないと判るや、その少年は突然、銃を犬に向けて発砲し、頭を吹き飛ばした。愛犬の亡骸を前に呆然と立ち尽くす老人。笑いながらその場を立ち去って行く少年たち。あまりにも理不尽な暴力!老人は“然るべき裁き”を求めて行動を開始する―。
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ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねりわさび
92
国の偉大さと道徳的な発達の程度は動物の扱い方によって計れる。というガンジーの言葉などを引用しつつ、愛犬を不良たちに殺された老人の復讐劇が描かれている。ケッチャム独特の暴力表現は少なく、エンディング間際まで淡々とドラマが展開して読みやすい。面白かったですね。2022/04/15
ナミのママ
86
ケッチャムがこういう小説も書くのかと驚いた。妻をなくし娘は嫁ぎ、愛犬と暮らしていた老人。川釣りを楽しんでいた時に現れた少年3人。彼らは銃を発砲し、愛犬は頭を吹き飛ばされた。そして笑いながら立ち去る少年たち。老人は行動を開始する。始まりは静かに、あくまでも良心的に正攻法で。それが叶わないとわかったときに老人は…。現実でも法のもとでの決定が理不尽と思われる事件がたくさんある。その時に人はどうするか、それを問われている気がする。ホラーではないケッチャム作品。読後も良かった。2025/02/12
おか
39
今日一日お休みだったので 洗濯とご飯作っただけで 読書三昧 幸せな一日でした。ケッチャムだから いつかきっと レッドが化け犬になって 馬鹿な子供どもに祟って そやつらをズタズタにすると信じて(笑)読み進めたら そんな生易しいものではなかった!老人のすることが悉く裏目に出る、それでも 彼は突き進む、痛い方痛い方に!!!そして最後に子犬を抱きながら 老人が痛感するのは 死んだ者たちも 老人そして子犬も 連綿と続く魂の世界の一部 という言葉が胸に詰まって涙が止まらなくなりました。2025/05/14
新田新一
26
自分の愛犬を殺された老人が、復讐を果たす物語です。ラドロウにとってレッドは、家族同然の犬でした。家族を失ったときにレッドは寄り添い続けてくれました。面白半分に犬を射殺する少年の残忍さが鋭く描かれています。圧倒的な不条理の暴力に直面した時に、人は何ができるのかを問う物語でもあります。復讐の過程でラドロウは徹底的に傷めつけられます。この痛みと苦しみの描写は胸が苦しくなるほどですが、作者の感受性の豊かさを示している気がします。ハッピーエンドに救われました。きめ細かな文章、深みのある人物描写、独創的な内容の傑作。2024/05/29
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
26
きっと怖くていやーな話にも程があるに違いない、と思ったがあまりそうではなく、淡々とした復讐談だった。心の底まで腐敗した悪人が出てくるのはこの作者の作品らしいし、暴力も徹底していて小気味よい。犬を殺してはならぬ。2023/01/13