出版社内容情報
日本書紀編纂から一三〇〇年。
熊野三山のご神体は、巨木であり、巨岩であり、滝である。
自然を崇拝する原始宗教が色濃く残る熊野は、神話において出雲との共通項が多く、どちらも死を連想させる。
日本書紀にイザナミの埋葬地と記されている熊野、花の窟。
オオクニヌシは、木の国(紀伊国)から、スサノヲの治める根の国へ行った。
死と再生の地である「根の国」こと熊野の姿に、熊野に深い縁を持つ5人の筆者が迫る。
スサノヲの熊野とアマテラスの伊勢 ~暮らしの中に生きる記紀神話~
池田雅之(早稲田大学名誉教授)
熊野神話と出雲神話 ~太平洋文化と日本海文化から読み解く~
三石学(みえ熊野学研究所運営委員長)
魂のゆりかごに還る
中上紀(作家)
熊野から日向神話の里へ
桐村英一郎(三重県立熊野古道センター理事)
熊野と渡来 ~彼方から寄り来るもの~
秦まゆな(日本文化案内人)
内容説明
根の国=死と再生の地、熊野。大和朝廷に恐れられた熊野の真の姿とは?熊野に深い縁をもつ5人の筆者が、神話を糸口にその姿に迫る。
目次
スサノヲの熊野とアマテラスの伊勢―暮らしの中に生きる記紀神話(記紀神話は生きる知恵の宝庫;わがふる里尾鷲は伊勢と熊野の結界 ほか)
熊野神話と出雲神話―太平洋文化と日本海文化から読み解く(『日本書紀』の熊野と『古事記』の出雲;紀伊半島と熊野の誕生 ほか)
魂のゆりかごに還る(祈りと祭り;原始の女神と女性 ほか)
熊野から日向神話の里へ(二つの高千穂;三つの御陵 ほか)
熊野と渡来―彼方から寄り来るもの(古道歩きの思い出;徐福伝説の地・波田須 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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12
アマテラスを主神として国家鎮護色の強い伊勢神宮に対して、熊野地域は巨石信仰や山岳信仰を起源としスサノオやイザナギ・イザナミといった死に近い神を信仰、信仰形態もよりプリミティブなものと本書では紹介される。実際に参拝した印象も同じもので、同じ神道でも立地や歴代権力との関係でここまで差が出るのかという驚きがあった。/研究者・在住作家などさまざまな熊野との接点を持つ5人の著者が熊野の神話的面白さを語ってくれるので、熊野旅行のお供にふさわしい。反面、同じような話が話者を変えて繰り返される点はいただけない。2022/11/14
緑のたぬき
2
南方熊楠の民俗学に触発されて、和歌山絡みの古事記、日本書紀といった神話伝承本。古事記、日本書紀が大和朝廷の支配体制の合理性を説くお話なので、天孫降臨=大陸から来た渡来人が、各地の狩猟採集の土着人を征服、同化していったというのが元ネタか、伝承のフレームは南方諸島の伝承からの流用もあり、なかなか面白い。2023/07/16
きりんだよ
1
熊野古道に行きたいので、きちんと知りたいシリーズとして。熊野へ行くのはいつになるやら。2025/01/08