沖縄を売った男

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沖縄を売った男

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  • サイズ B6判/高さ 19cm
  • 商品コード 9784594077037
  • NDC分類 318.299
  • Cコード C0095

出版社内容情報

(内容紹介)
「辺野古に基地を造らせない」
反基地運動の闘士として絶大なる人気を誇ってきた沖縄県知事の翁長雄志氏。今、その足元にほころびが見え始めている。

昨年末には辺野古の埋め立て承認を巡る裁判に敗れ、'17年2月には側近中の側近であった安慶田光男副知事に教職員採用を巡る不正介入疑惑が浮上して辞任騒動が勃発。長らく翁長氏を"応援"してきた沖縄メディアとの間にも亀裂が生じている。辺野古新基地の建設を阻止する有効な手立てを示せていないことが、その一因だと考えられる。

この状況を歯がゆく感じているのが、前知事の仲井眞氏弘多氏だ。'13年には一括交付金を含めて毎年3000億円規模の予算を政府から引き出したうえで、辺野古の埋め立てを承認したため、「裏切り者」「沖縄の心をカネで売った」などと非難された。

歴代の知事が軒並み新たな基地の建設に反対、ないしは基地問題に関する膝詰めの議論を避けてきたなかで、県民の反発を承知で仲井眞氏は辺野古の埋め立てを承認した。その葛藤と承認に至る政府との交渉の裏側を、仲井眞氏本人や当時の副知事、沖縄県庁関係者、歴代の防衛大臣に"防衛省の天皇"と言われた守屋武昌氏、菅義偉官房長官などへの取材を通じて明らかにする。

翁長氏とはまったく異なるアプローチで沖縄の基地負担軽減に取り組んだ仲井眞氏を通して、基地問題を見つめ直した一冊。


〈構成〉
序章 翁長の敗北…判決/本土との溝/人気の陰り
1章 アイデンティティ…久米村人の末裔/父・元楷/揺らぐアイデンティティ/通産省入省/帰郷/革新県政の副知事
2章 知事と基地…基地問題の呪縛/稲嶺の後継/防衛省の天皇/メア総領事との対立/守屋解任/官僚の壁
3章 県外移設論の迷走…最低でも県外/協議以前の星雲的状態/学べば学ぶほど/「沖縄は独立したほうがいい」/抑止力と地政学/選挙公約
4章 「アメとムチ」…フィージビリティ/一括交付金
5章 中国の圧力…ワシントンの関心/「軍事紛争が起こる」が四分の一
6章 オスプレイ配備…異形の機体/「未亡人製造機」/反基地の新リーダー/決裂
7章 決断…官房長官/埋め立て申請/審査/夏休みの密談/絶頂/激怒の記者会見/集中砲火
8章 裏切り者と呼ばれて…いい正月/手に届きかけていたもの/敗北/退任/沖縄基地問題の解を探して


竹中明洋[タケナカアキヒロ]
1973年山口県生まれ。北海道大学卒業、東京大学大学院修士課程中退、ロシア・サンクトペテルブルグ大学留学。在ウズベキスタン日本大使館専門調査員、NHK記者、衆議院議員秘書、『週刊文春』記者などを経てフリーランスに

目次

序章 翁長の敗北
第1章 アイデンティティ
第2章 知事と基地
第3章 県外移設論の迷走
第4章 「アメとムチ」
第5章 中国の圧力
第6章 オスプレイ配備
第7章 決断
第8章 裏切り者と呼ばれて

著者等紹介

竹中明洋[タケナカアキヒロ]
1973年山口県生まれ。北海道大学卒業、東京大学大学院修士課程中退、ロシア・サンクトペテルブルグ大学留学。在ウズベキスタン日本大使館専門調査員、NHK記者、衆議院議員秘書、週刊文春記者などを経てフリーランスに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

21
仲井眞知事が「沖縄を売った男」言われるまでの経緯を綴っています。沖縄外からはなかやかわからない難しい部分がありますが、事実として基地が集中していることは是正すべき話だと感じました。また対案のない結論ありきのマスコミは本当に害悪だと思います。2023/12/24

二人娘の父

10
タイトルは敢えて挑発的になっているが、内容的には「売った」経緯と内容が比較的冷静に取材され記されているものと読んだ。ある意味自分とは正反対にいる人物と思っていたが、ウチナーンチュからすれば、そんな単純な話ではないことが理解できる。話の流れからして、翁長前知事への批判的な記述が多いのは仕方ないが、彼とて出自は沖縄保守の本流。仲井眞氏からすれば言いたいことは色々あるのだろう。問題はやはり沖縄を捨て石としてきた、日本政府の対応だし、我々ヤマトの人間の態度だろう。そのことを期せずして仲井眞氏の言動から教えられた。2022/06/16

はる

6
仲井真元知事を誤解していた。翁長知事は正面から報道されていても、仲井真元知事はたしかに沖縄を「売った」男という側面でしか伝えられない。その裏に彼なりの哲学があり、沖縄の基地負担軽減を政府とともに進めようとしていた。それも泡となった部分もあるが、生きている部分もある。翁長も仲井真も結局は沖縄のことを考えて考えて違う方向にいった。仲井真が未だにわからないというように、答えが出ないものかもしれない。しかし、陰ながら反発されながらも沖縄のために努力された、ほとんど人に知られていない側面があったことを知る。2017/04/21

K.C.

5
事実は一つというが、それとて当事者間で相違はあり、唯一無二ではないわけで、仲井真元知事に対する評価をどうこういうつもりはないが、やはり某元首相の「最低でも県外」発言が仲井真元知事を初めとする沖縄を弄んだのは間違いないし、元の選対本部長が結果として対抗馬として登場し、後を襲うことになったのも、それが起点ではないだろうか。 行政のあり方というのも見えてくる。「Politically Correctness」ならぬ「Administratively Correctness」は理解されにくいということであろう。2017/05/04

(まだない)

4
鳩山の「最低でも県外」発言が火をつけた米軍基地の県外移設を求めるうねりのなか、安倍政権から多大な約束を引き出したのと引き換えに辺野古埋め立てを容認したことから「沖縄を売った」と言われた仲井眞前知事に迫ったドキュメンタリー。市街地の中にある普天間基地をとにかく外に出すか機能を停止させることが最優先とする冷徹な姿勢が描かれる。(2017/10/11読了)☆2.5点2017/10/11

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