内容説明
待てば海路の日和あり!?待機は怠惰ではない。“待つこと”の効用と苦痛を洗い直し、その積極的な意味を取り戻す。
目次
第1章 究極の苦しさ
第2章 待つことに翻弄される人たち
第3章 時間のない世界
第4章 待つ技術
第5章 空白と不条理
第6章 正気を保つということ
著者等紹介
春日武彦[カスガタケヒコ]
精神科医。1951年京都府生まれ。日本医科大学卒。都立松沢病院、都立墨東病院精神科部長などを経て、現在も臨床に携わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiichi
12
揃わない書類、会いたい人と会える日、自分の死、いろんなことを私も待っている。でも、その「待つ」という行為は、希望であり、回避行為であり、待っているようで実は動けないだけ、ということも多いんだな、と実感。精神科の疾患に絡めた理論がわかりやすく、今後の仕事の参考にもなりました。2016/05/28
showgunn
11
あとがきに「率直に申しまして、予想外に書くのが難しかった」とある通り、どうもいつものようなキレがなくテーマの周りをぐるぐるしてるような印象を受けた。最終的にも本題に到達したとは言い難いかな。 正常であることの条件として「自分を客観視できる」「別解を考えられる」「優先順位に妥当性がある」「ものごとを保留できる能力がある」ということを上げてる箇所は非常に納得した、確かにヤバい人はこれが全くない。2016/07/02
白黒豆黄昏ぞんび
11
精神がある以上、バランスを欠いてしまうことは避けられないわけで、そういう時こそ待つ姿勢でいなければいけないのですね。わたしにはサラッとした印象の内容でしたが、客観性を持つのが正常であるということを思い出させてもらえたので、自分の抱えてる現状に於いては助かる部分がありました。アイデンティティのところはもう少し突き詰めて考えたいです。たまに出る病気みたいな癇癪がアイデンティティだと自分で思いこんでいたんだけど、そうではないかもしれないし、これがわたしだなんて認めてしまったらそこで終わりですものね。春日さんは口2013/01/26
K.iz
10
普段は「である体」の氏の文章が「ですます体」だったので始め戸惑いました。巻末に雑誌編集者への謝辞があったので、元は雑誌連載かもしれません。内容は「待つ」をキーワードに、ストレスフルな社会の心得について述べています。著者の他の本より実践的な印象を持ちました。雑誌連載(予想が正しければですが)だったのが理由かもしれません。 2012/12/20
澤水月
9
「待つ」ことの辛さを縷々例をあげ、お馴染み春日節で文学もひきつつ論旨展開…だが、今回はテーマのせいもあってか春日先生ご自身もかなり苦しんで書かれたように見受けられ息詰まる迫力があった。かつてご自身の陥った病的状態などカムアウトに驚く。しかし帯のアー写格好いいっす2012/12/11