内容説明
ベトナム戦争から帰還したリー・モラヴィアンは、心に深い傷を負って現実生活に適応できなくなり、人里離れた山の中で犬とともに暮らしていた。マリファナを栽培しながらの生活のなかで、リーは戦争の後遺症から、しばしば現実と戦闘中の記憶が混乱していた。そこに人気作家ケルシーを中心とした仲間6人がキャンプにやってくる。ケイシーの愛人さ交えた微妙な人間関係とはいえ、各人はそれぞれの思いを秘め、キャンプを楽しんでいた。しかし、彼らが偶然マリファナ畑を見つけたことで、キャンプは一変する…。
著者等紹介
ケッチャム,ジャック[ケッチャム,ジャック][Ketchum,Jack]
俳優、教師、出版エージェントなどの職業を経て、80年に『オフシーズン』(扶桑社ミステリー)で作家デビュー。スティーヴン・キングらの賞賛を浴びるサイコ・スリラー界の注目作家。本名ダラス・マイヤー
金子浩[カネコヒロシ]
1958年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねりわさび
81
森にバカンスに出かけたセレブたちがPTSDに苦しむベトナム退役軍人の耕した大麻畑から葉っぱを盗む。怒り狂った元軍人は彼らの命を無礼への代価として支払わせるべく皆殺しにしようと追いかけてくる。というゴシックホラー小説。狂気の男や、表面上は人生の成功者たちである主人公たちの内面の葛藤が細かく描かれておりドラマとして面白い。前書きに著者による明け透けなメイキング文も挿入されていて読んでいて面白かったですね。2022/03/09
mii22.
50
ケッチャム初読。残酷描写でよく知られている著者だが『森の惨劇』はまだソフトな方らしい。それでも覚悟して読んだが、残酷描写そのものより、一度心掴まれたら夢中にさせてしまう素晴らしい文章表現に圧倒された。戦争で心に深い傷を負ったため、現実生活に適応出来なくなり森でひっそり犬と暮らすベトナム帰還兵の苦悩と狂気と孤独、心の闇をグイグイ見せつけてくる。心の底から不安な気持ちにさせる今までに味わったことのない初めての読書体験だった。噂の『隣の家の少女』も是非読んでみたくなった。2016/08/11
GaGa
43
いわゆる「人間狩り」を描いた小説。80年代のアメリカ映画のような感じ。「オフシーズン」と構図的には同じだが、敵をベトナム帰還兵としたところが判りやすい。グロイ描写は控えめながら、それなりに完成された作品となっている。リーが戦争体験と現実を混同していく様がもう少し丁寧に描かれていれば、もっとよくなったのかな、などと思った。2011/12/19
bapaksejahtera
12
著者を読んで二作目。ベトナム戦争の悲惨な体験から精神を病んで屡々起こるフラッシュバックに日常生活が送れぬようになった男は妻子(出来た女房を娶り、子まで生し得たのか、読んでも納得できないが)を捨てて森で一人大麻を育てる等して生活を送る。そこに著述生活にやや疲れの出た作家が、共に住むする二人の女と朋友を連れて男の住む近所にキャンプを張る。一行は男の栽培する大麻を発見するが、そのうち男は一行の侵入に気づき、ベトナムでの悪夢が蘇り、索敵と殲滅行動に移る。以降凄惨な描写が続く。誰が生き残るかだけの興味で読み終えた。2024/10/09
井戸端アンジェリか
8
グロくない。突出したクソ野郎もゲス野郎もいない。 犬との別れでせつなくなるし、最後の幕引きでは可哀想で泣きたくなった。 ベトナム戦争の悲惨さを書きたかったのはわかった。でも.........こんなの私の好きなケッチャムじゃない!!2013/01/04