内容説明
ブラジル人の「私」は、アルゼンチンで開催されるE・A・ポーの研究総会へ参加できることになった。しかも、長年の夢だったボルヘスとの対面も果たした。だが、総会は不穏な空気に覆われ、ついに事件が起こる。論争の種をまいていたドイツ人が殺されたのだ。現場の部屋は施錠され、死体は文字をかたどっていた…密室とダイイング・メッセージの謎にボルヘスが挑む。カバラからクトゥルー神話までを縦横に論じ、史上最強の安楽椅子探偵の推理はどこへ行く?南米発、衒学的文芸ミステリー。
著者等紹介
ヴェリッシモ,ルイス・フェルナンド[ヴェリッシモ,ルイスフェルナンド][Verissimo,Luis Fernando]
1936年、ブラジル南部ポルトアレグレ生まれ。米国生活も長く、出版社勤務のかたわら英語翻訳に携わる。コラム執筆のほか、小説も発表する
栗原百代[クリハラモモヨ]
東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。東京学芸大学教育学修士修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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本木英朗
13
ブラジルの作家、ルイス・フェルナンド・ヴェリッシモが2000年に発表したものを、2008年に日本語で全訳されたのが、この『ボルヘスと不死のオランウータン』である。俺は2012年に一回、買って読んだので、今回は2回目である。しかし、途中で訳が分からなくなってしまったよ、今回は。密室とダイイング・メッセージの謎をボルヘスが挑む、と言ってるけど、今の俺にはつまんなかったなあ。いつかまた読もうと思う。2019/07/13
EnJoeToh
9
ふと思い出して読み返し。記憶にあるより面白かった。2014/09/20
rinakko
5
ほうほうほう…と、楽しく読みました。ポーの研究者が集うイズラフェル協会の総会がブエノスアイレス(南半球では初)で開かれると知り、“幸福な偶然の一致”に背中を押されてブラジル南部に住む「私」も出席を決めて出かけたので、ある。そこで思いがけずボルヘスとの対面を果たし、そして殺人事件に遭遇してともに解明に挑む…(?)。という筋立てなので、まあそれだけでまあ面白いです(しゃべってるばっかりだもん)。衒学的な部分もさくっと読み易いですし。あと、章を追うごとに「何か可笑しいぞ?」と、笑えてくるところが割と好きでした。2011/02/18
africo
4
ボルヘスを探偵役にした文芸衒学ミステリ、という事ではあるのだけど、衒学の部分がどうにもヌルいし、ミステリ部分は(自主規制)だし、メタフィクショナルな仕掛けは冴えていないしで、非常になんだかなー、という感じ。だが、ボルヘスという既知の人物を持ち出していることで、慣れたシリーズものを読んでいるかのようにそれなりに楽しめた。ただ、結局は作者のボルヘス愛と作中のボルヘスちゃんの雑談を(いきてる!うごいてる!といった、のび太的目線で)ニヤニヤ楽しむものなので、ボルヘスファンじゃない人はさっぱり面白くないだろうなあ。2012/03/07
つまみ食い
3
「安楽椅子探偵ボルヘス」というあらすじでもつワクワクからするとやや肩透かしの感もあるが、衒学的な雰囲気は楽しい2024/03/26