内容説明
1953年、作家を夢見る青年は、放浪の旅に出た。観察し、学び、書くために。ところが、浮浪者と間違われて逮捕され、収容所に入れられてしまった。それをきっかけに、彼は予想もしない犯罪に次々巻きこまれることになる。メキシコ国境、ラスヴェガス、そして、サンフランシスコ…からみあう人間模様がさまざまな事件を呼び、すべてがもつれあって、危険な謎へと導いていく。青春の彷徨が、いま、ひとつの探偵小説に結実する―現代を代表するハードボイルドの巨匠ゴアズが、追憶をこめて描く名品。
著者等紹介
ゴアズ,ジョー[ゴアズ,ジョー][Gores,Joe]
1931年、ミネソタ生まれ。文学修士号を取得。さまざまな職につき、軍隊やケニアで英語教師も経験する。サンフランシスコで12年にわたって私立探偵として活動。デビュー作『野獣の血』でMWA新人賞に輝き、同じ年に短編賞も受賞。また『刑事コジャック』の脚本でMWA賞のTV部門も受けた
坂本憲一[サカモトケンイチ]
1944年生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒。美術書の編集者を経て、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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maja
13
1950年代初頭のアメリカ、作家を夢見る青年は旅に出る。著者の前半生の事実とフィクションを完璧なほどに混ぜ合わせたとか。反対に解きほぐしたらちょっと怖い。放浪の旅は南部の地ジョージアでの理不尽な逮捕に始まりメキシコ国境の地へ、さらにラスヴェガス、サンフランシスコと次々と事件に巻き込まれていく。 2019/05/01
ネムル
11
追憶の50年代、半自伝的な青春小説。ヘミングウェイとチャンドラーが愛読しながら、その甘やかなロマンチシズムにちょいと浸ってしまうのもどうかとも思うが、苦くも爽やかな小説だった。2019/02/17
紅はこべ
10
大学を出たばかりの作家志望の主人公が、作家となるべく経験を積むため放浪の旅に出る。前半はロードノヴェル、後半サンフランシスコの探偵事務所に就職してからはハードボイルド小説。教養小説のハードボイルド版。作者の自伝的小説だそうだが、勿論殆どフィクションでしょう。凄い経験ばかりだし。主人公の好きな作家はヘミングウェイ、サリンジャー、チャンドラー。村上春樹と話が合いそうね。2008/06/12
ミカママ
4
話があっちゃこっちゃに飛ぶのは、ロードミステリー(?)ゆえ仕方ないのか。少々わかりにくい部分があった。え?なにこれ、と思うと、主人公が見てた夢だったりして。翻訳が残念なカンジ。2012/09/04
茶幸才斎
3
1953年、作家を志す青年ダンクは、ジョージア、メキシコ、ラスベガス、ロサンゼルスを、さまざまな騒動を起こしながら旅した後、サンフランシスコの私立探偵事務所で働くことになる。そこで探偵助手をこなす一方、彼自身も大きな事件に巻き込まれる。前半は、単なる奔放な旅の記録で、読者をどこに連れて行くつもりか分からず退屈だった。しかし、旅の雑多な登場人物が後半の事件の関係者として次第に集約されるに連れ、ようやく話に引き込まれる。酒と音楽と情事と暴力の放浪の旅の果てに自己を確立するのがアメリカの古き良き若者なのだねぇ。2011/04/23