内容説明
往年の名奇術師も、脱出マジックに失敗し、いまは身動きできずに、小道具満載の部屋の車椅子のうえ。屋敷に住むのは、2代目として活躍する息子と、その野心的な妻、そして妻の弟。ある日、腹にいち物秘めたマネージャーが訪ねてきたとき、ショッキングな密室劇の幕が開く!老奇術師の眼のまえで展開する、奇妙にして華麗、空前絶後のだまし合い。息も継がせぬどんでん返しの連続。さて、その結末やいかに―鬼才マシスンが贈る、ミステリーの楽しさあふれる殺人悲喜劇。
著者等紹介
マシスン,リチャード[マシスン,リチャード][Matheson,Richard]
1926年、ニュージャージー州生まれ。幼いころから創作をはじめ、50年に作家デビュー。ホラー、SF、ミステリーなど広い分野で活躍。映像化された作品も多く、『縮みゆく人間』『激突!』『ヘルハウス』などでは、みずから脚本も執筆。『ミステリーゾーン』をはじめ、TVシリーズにも多くの作品を提供した
本間有[ホンマユウ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
39
脱出劇での失敗が原因で植物状態になってしまった熟練奇術師。ある日、自分の息子が殺人を企てていることを見せつけられてしまう!被害者と加害者の入れ替わり、証言によって分かる人物印象の認識の一変、奇術トリックや効果的な演出による畳み掛けるようなどんでん返しの嵐に観客=自分の奇術に誇りを持つ老奇術師と同様にハラハラドキドキさせられました。ただし、あの仕掛けは、ノックスの十戒を使わなければ整合に合わないと思いますが・・・・。とりあえず、厭というほど人のエゴや業を見せつけられた彼が穏やかに暮らしているのが何よりです。2013/05/24
メイ&まー
21
なんだか大変なことになってるよ、コレ!と誰かを突っつきたくなるような本。不謹慎、不遜、意地悪が溢れててなんともはや。でも落ち着くとこに落ち着いて、最後にはまさにタイトル通り奇術師の密室状態。そっからまたたまげたラスト。すっかり騙された挙げ句、なぜか爽快な読み終わり。2017/03/23
shiaruvy
12
★4.5 [2006.07.30 1刷] 奇術師や魔術師の文言だけでワクワク。 普通,一気読みさせる本はその時だけ楽しく後には何も残らないが,私が父親の世界(皮肉屋)の人間だからか人のエゴあぶり出しているからなのか..,読後に余韻を引き摺り考えさせられる作品。 どっかで見た作者名だと思っていたが,『激突!』の原作書いた人だった。 面白れ〜はずだよ♪ P.17とP.333で矛盾あるが,大したことではな〜い。2012/06/29
やまだん
11
植物人間状態の偉大な奇術師,エミール・デラコートを観客として,密室で,殺人が起こる。エミールの息子,マキシミリアンが自分を裏切ったマネージャーであるハリーと,妻であるカサンドラに復讐を企てるのだが…。解説や書評では「息も継がせぬどんでん返しの連続」とある。この作品の驚きは,本格ミステリのように,それまで信じていた世界が裏返るような驚きではない。伏線は,それほど周到に張られている訳ではないが,畳みかけるようにどんでん返しが繰り返される。それなりに楽しめるが,翻訳調で読みにくく,中盤だれるのが難点(55点)2017/11/12
KAZOO
11
読みにくいかなあと思っていましたが、あにはからんや結構スラスラ読んでしまいました。結構どんでん返しなどが出てきて、面白く読めました。このような本も映画をイメージして読むと楽しいと思います。誰がこの役をやるとかイメージをふくらまして読みました。2014/02/07