内容説明
イングラム夫妻は、外洋ヨットで新婚旅行に出ていた。死んだような凪ぎの朝、ふたりは1隻のヨットを発見する。沈みかけたそのヨットから、若い男が必死に逃れてきた。彼は、船上で起こった凄惨な出来事について語るが、不審に思ったイングラムは、相手のヨットに乗船、そこで驚くべき事実を知る―かくて幸せな航海は終わり、地獄の戦いがはじまった!絶海の洋上、沈みゆく船、刻々と迫るタイム・リミット、深まる謎…サスペンスの名手チャールズ・ウィリアムズが放つ極限のスリラー!埋もれた傑作、本邦初登場。
著者等紹介
矢口誠[ヤグチマコト]
1962年生まれ。慶応大学文学部国文科卒。出版社勤務を経て、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
21
緊張感に満ち満ちた怖い作品だった。大海の真ん中のヨットでの攻防。正気を失った人と海の上で迷子になるという恐ろしさと沈んでしまうという恐ろしさで、ラストを覗いちゃった。宇宙の中でパニックになった宇宙船という感じ。作者も自分のヨットの中で自死していたらしく、その理由も不明だと書かれている。2024/03/18
秋良
5
海のど真ん中という舞台と、限られた登場人物しか出てこない状況が「こいつキレさせたらヤバい(×2)」という緊張感を上手いこと出してくれる。吹雪に閉ざされた洋館よりも、自力で陸まで行かなきゃいけないからサバイバル度上がるんですね。そのぶん展開もハードなので何回も読みたくはならない。2017/09/21
沼田のに
1
海洋冒険小説のヨット小説の面白さを満喫した。サム・ルエリンの「魔の帆走」以来のお久しぶりのジャンルで扶桑社のHPをまさぐって掘り出して良かった。台詞をしゃべる登場人物が四人しかいないのが大変よい。市の図書館に同じ作者と主人公の「座礁」はなかったが「スコーピオン岩礁」があったので読みたい本に登録した。8/102015/04/20
じゅん
0
★★★☆☆サスペンスものの佳作といった感じで、そこそこおもしろかった。中盤までは「ずっとこの調子でどうやって盛り上げるんだろう?」と思っていたのだけど、しだいに主人公以外の人物の信頼できなさが浮かび上がってきて意外な楽しさがあった。この時代に母子密着的な異常心理を扱っているのは達見で、クライマックスの騒動の読みごたえにもつながっていた。ほかにおもしろかったのは会話の書き方で、この作家は嫌味を言わせたら最強。筋運びも達者でかなりうまい。邦訳が少ないのが残念だけど、気になる作家。他作も読んでみたい。2016/04/04
kanamori
0
☆☆☆2013/09/27