内容説明
大英帝国華やかなりし1885年、真夏の避暑地ブライトン。ごった返す駅の構内をさまよう初老の男の姿があった。彼こそは、高名な数学者チャールズ・ドジソン氏―ルイス・キャロルその人である。ひと夏をともに過ごす予定の、国会議員の娘マーベリー嬢が失踪したのだ。消えた少女を捜すドジソン氏に、頼もしいパートナーが現われた。正義感あふれる若き医師、アーサー・コナン・ドイルである!史実を巧妙にからめて歴史を掘り起こし、キャロルとドイルが夢の推理合戦を展開する、注目のミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ごへいもち
19
表紙絵の爽やかさ。ルイスキャロルとコナンドイルが探偵役。ドイルはホームズではないのについ鮮やかな推理を期待してしまい鈍くさく見えてしまうw。娘を誘拐された両親があまりにもクールでびっくり、貴族ってそういうものなのかも。時代の雰囲気は味わえる、特にブライトン2018/10/06
Kitinotomodati
2
最初は投げ出そうかと思った。ドジソンとドイルのありがちなキャラクター設定も食傷しているし、何より途中で真相が大体分かってしまったのだもの。アリシアという元気な存在があったので、何とか読み通せた。2020/11/05
madhatter
2
再読。事件自体は胸糞が悪いが、この時代を扱う以上避けられないテーマだ。してみると、あのような主張を持つマーベリーを核にしたのは賢明だった。だが、第一作にこの問題を据えたのは如何なものか。ドジスンを絡ませるなら、もっと微妙な配慮が要ると思う。ドイルとの関係を成熟させてから扱った方が、より深められる問題ではないか。推理小説としては…私は犯人を推理できたが、これはあまりにも手掛かりが古臭いためだ。百年前の推理小説だってもっと凝っている。2011/07/24
司
1
もしもドイルとキャロルが出会い、事件に巻き込まれてタッグを組んだら・・・という発想は面白いのに事件は陰惨。どうしてもアリス=アリシアを冒険させたかったのならただの営利誘拐でも良かったのでは? とはいえ現代視点で描かれるとなぜか階級の意識や差別が現代風の登場人物が出てくるのはよくあるが、政界のヒーローであるマーベリーも下層階級の女を遊んで捨てた過去を持ち、そしてキャロルもそれを当然のように思ってるところはいかにもこの時代らしかった。2015/02/04
ティーゼル
1
時代を反映しているとはいえ、ほんとうに嫌な事件。せっかくルイス・キャロルとコナン・ドイルを組ませるんだったら、もっと違う作品作りが出来たんじゃないかな。これは二人があんまり「推理」してない。残念。2014/03/05