内容説明
ウェインは密かな殺人願望を持っていた。一見するとごく普通の男性ウェインには昆虫や小動物などを殺し続けた過去があった。加えて隣人達の「犬のふんを掃除しない」といった些細な出来事を手帳に記し、「有罪」として復讐の機会を狙っていた。ある日、彼は恋人スーザンと散歩中、不意に彼女の首を絞めた。驚いたスーザンは咄嗟に逃走。だが、その時ウェインは偶然にも殺人現場を目撃。この日を境にして彼の心は次第に解き放たれてゆく。病めるアメリカをオフ・ビート感覚で描き切る超異常心理スリラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
65
病んでいる現実を、病んでいる心を、今はこんな事件が起きても驚くこともない、そんな社会なのですよ、と淡々と。それでもその中でやり直し生きていく術を見つけなさい。そう言われている様にも受け取れました。この小説が刊行されたのは1994年、28年を経た現在も'病み'は変わってはいない。取り込まれない様に、しっかりと。2022/09/23
hit4papa
24
偶然目撃した殺人現場で、シリアルキラーの本性が爆発した男。殺人犯のカップルを拉致し、今度は自身が連続殺人に手を染めていくというサスペンスドラマです。著者の作品は、本を閉じたくなるような残酷な描写からスプラッターホラーとして見られがちです。しかしながら、心の闇を抉る力強さで、それだけに終わらない奥深い作品となっています。本作品も、殺人を犯した男女の葛藤や、捜査官の懊悩、被害者たちの日々が丹念に描かれていて読みごたえがあります。シリアルキラーのキレっぷりもなかなかで、エンターテイメント性が高くなっています。2017/04/14
bapaksejahtera
12
理由にもならぬ理由で次々と人を惨殺していく男。ある殺人事件の目撃が彼のそうした行動にスイッチを与えたという発端。その殺人事件の下手人男女二人に殺人鬼は身勝手な共感を持つが、これが破綻し、彼は二人を誘拐監禁しての逃避行を始める。当初は余りに粗暴な書き出しに、読書継続を躊躇したが、次々生ずる荒々しい殺人の急激な展開に否応もなくつき合わされる。その間に挟まる担当刑事の私的生活模様もバランスが良い。殺伐な小説だが最後に訪れた静けさを心地よく感じた。我が国へ紹介された最初の著者作品のようだが、何作かは追ってみたい。2024/10/02
shiaruvy
9
★感想後日。 [1996.08.10 2刷] 虫太郎師の合間に。 これで持っているケッチャムせんせ〜は終わり。 まだ買うやろか..思案中。2013/02/16
さといも
8
再読。ケッチャムを読みたくなったので引っ張りだして来た。エグい、バッドエンディグなケッチャム好きな私にはライトなお話。サクサク読み進められます。思わず本を閉じてしまうシーンもないからケッチャム入門編かなぁ。人を殺してみたい願望を持つ男が殺人を目撃して、殺人鬼になるという。終盤になると1ページで何人殺されるんですか?ってくらい。久しぶりに読んでもケッチャム面白いのでケッチャム再読祭りを検討中。2015/12/13