内容説明
トリニティ学院では、運営資金調達のために、生徒にチョコレート販売の義務が課せられていた。だが一年生ジェリーは、副学院長の面前で販売を拒否する。学校側は、校内を牛耳る秘密組織ヴィジルズに依頼してジェリーに圧力をかけるが、その汚いやりくちに反発した彼は断固として拒否しつづける。ヴィジルズは、命令に従わないジェリーに制裁を加えるべく動き出した…奇妙な秘密組織に支配された学校のなかで、自由を求めた少年の孤独な反乱と挫折を、『フェイド』の鬼才コーミアが鮮烈なタッチで描く青春小説の秀作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けいちゃっぷ
12
学校を牛耳る一部の教師と一部の学生。 伝統行事である学生全員によるチョコレート販売の時期がきたが、なぜか一人の学生だけは拒絶し続ける。 何故彼は反抗するのか。 牛耳る側はどうするのか。 キャラクターや心理描写などが、くどいくらいに良いのでグイグイ読ませます。 309ページ 2015/07/26
**くま**
10
スティーヴン・キングのオススメ本。十代向けの本で私は明らかに対象年齢外ですが、なぜか昔からこの手の青春ものの小説・映画が大好物なのでとても楽しく読みました。学校でなぜか伝統になっているチョコレート売りを強要された主人公は、ふとしたきっかけからそれをひとりだけ拒み続ける。いたずら、いじめ、学校を牛耳る闇グループとそのリーダー、さらにもっとワルな教師、恋愛などお約束満載ですが、心理描写やキャラの書き込みが素晴らしい。ただのワルな生徒、ではなくちゃんとそれぞれの気持ちや駆け引きがリアルに描かれているのがすごい!2014/10/07
Foufou
4
原書にて読了。ハイティーン対象とあって英語はやや難。スラングに苦戦。奥付に1974年版とあり。掲載された書評の抜粋にリアリズムを讃えるものあり、だとすると当時のアメリカの学園生活は(も?)なかなか過酷です。チョコレートウォーというからにはファンタジーテイストを期待しましたが「煩悶する思春期」が生真面目に描かれていてやや面食らいました。しかもテーマは「悪の栄え」。ちょっと絶望的な気持ちにさせられます。『桐島部活やめるってよ』で描かれる学内ヒエラルキーなんぞ甘っちょろいですね。ふと三島由紀夫を思い出しました。2015/07/08
リョウ
3
青春時代の真綿で首を絞められているような窒息感、閉塞感、鬱屈した気持ちが痛々しいほど瑞々しく描写されている。救われない結末だが、これが現実。2016/11/11
まろんぐらっせ
3
学校版「蠅の王 」のような怖さが後半にはやってくるのです。どうやら続編も存在するらしいので、そちらも読んでみなければ。登場人物たちの「その後」がこれほど気になることも珍しいなぁ。2010/08/15