内容説明
チャーリー・ブラッドショーは競馬の町サラトガでしがない探偵事務所を開いている。警官や競馬場警備責任者の職歴がある彼だが、今は尾羽打ち枯らし、事務所の家賃を払うのもやっとというありさま。十月の上旬、そんな彼の家に騎乗停止中の騎手ジミー・マクラッチーが訪ねてきた。マクラッチーは八百長レースの容疑で起訴された男だった。が、免責特権を与えられ、裁判では検察側の証人となり、20人近い人間を刑務所送りにしていた。近々行なわれるニューヨークの裁判でも検察側証人として出廷するという。その彼がチャーリーの家に1週間ほど泊めてくれというのだ。チャーリーはしぶしぶ承知した。が、翌日の夕方、外出から帰ったチャーリーを待っていたのはマクラッチーの首なし死体だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
churu
4
ディック・フランシス以外の競馬ミステリーを読む企画第二弾。サラトガを舞台に元警官の私立探偵が活躍するシリーズ物(邦訳はこれ一冊のみ)。1985年刊=日本ではシリウスシンボリが日本ダービーを勝った年。そう思うと結構古い。爆破やアクションなど派手な展開の割に、正義感と矜持と煮え切らなさが災厄を呼び寄せ、鬱屈を溜め込む主人公が読んでてスカッとしない。単なる八百長のためになぜ血統のすり替えまでする必要があったのかも釈然としないけど、とりあえずテレビドラマ的ミステリーと割り切って競馬の街サラトガの空気感を楽しもう。2021/07/12