内容説明
1950年代のアメリカ。「私」、キャシー・ドーランギャンガーはなにひとつ不自由のない、しあわせな少女時代を送っていた。「私にとって、人生とはすばらしい真夏の一日のようなものだった。」私には優しい兄クリス、双子の弟と妹、そして誰よりも素敵なパパとママがいた。ところがある日、思いもかけない不幸が私たち一家を襲う。交通事故で最愛のパパを失ってしまったのだ―。その日を境として、あとに残されたママと4人の子供たちの運命は一変した。着の身着のまま、母の実家のヴァージニアに向けて出発した5人だったが、過去の過ちで勘当されていた母のために、私たち4人は壮大な屋敷の屋根裏部屋に閉じ込められてしまった。この屋根裏部屋から出られる日はすぐに来ると信じながら―。全米女性に熱狂的な支持を受けた『屋根裏部屋の花たち』シリーズ第1部。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白のヒメ
43
ずっと気になっていた本。ゴシックホラーとも分類されるのだけれど、読み終わるとホラーなんてもので済まされるものではないほどのおぞましさ、えげつなさ。近年の昼ドラでも決して無いようなタブー小説だった。物語の背景と対照的に罪のない子供たちの無邪気さ健気さに胸が痛み、終盤になってくると、彼らのおかれる不条理さに本当に腹が立って腹が立って、読み手の私すらも彼らを復讐に向かえとあおる心情に傾くほど。久しぶりに小説を読んで本気で腹が立った。これはシリーズものらしい。彼らの未来がどうなっていくのか、見届けたい。2019/09/09
あたびー
37
数十年ぶりの再読。辛かった時代に読んで、引越しの際手放していたけど、突然読み返したくなって何度目かの再読……しかし、何度読んでも辛い!辛すぎる!彼らに何が起きるかを知ってて読むのだから尚更辛すぎる!美しい4人兄妹は、父が突然に亡くなり母の実家へ。しかし彼らはいなかった者のように屋根裏部屋に閉じ込められる。鬼のような祖母。やがて明かされる両親の秘密。疑惑を拭い去れない母の行動。そして最悪の事態。(登場人物が容認できない発言をするので現代には側さないと言うのは目をつぶって読んだ)2025/01/27
まま
12
再再読、恒川さんからのダークファンタジーの世界へ入りたくなり若ーい頃の㌿を!腹立つし嫌な気持ち残るんだけど物の描写目に浮かぶようで、とりこになった。今読んでも変わらない美しい文章。感性は変わらないのかな。読む人は選ぶけど、やはり本棚には、いてほしい作家さん。てももう亡くなってるのよね。2019/12/19
那由多
7
屋根裏部屋に監禁される子供たち。シリーズ一作目。ゴシックホラーの香りプンプン。
鳩羽
7
父親が事故死し、母親の実家に帰ることになったキャシーら四人兄妹。しかし厳格な祖母は四人を屋根裏部屋に監禁し、出てくることを禁じた。母親は祖父が亡くなり、遺産を手にするまでのほんの短い間の辛抱だというが、その長い日々は四人の心身を蝕んでいく。母親への愛情を盾にされ、肉体的にも精神的にも監禁された兄妹は、それでも知識を得て、感受性を育み、肉体的にも成熟していく。しかしそのことに何の意味もなく、愛情すら家族愛なのか性欲に過ぎないのか不確かで、自由を得ることになってもなんとなく虚しかった。2017/02/05
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