内容説明
親子、夫婦、恋人―新しい人間関係への模索が10人の視点から語られた。代表的女性作家の10篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
42
30年前に刊行された女性作家のみの短編集。当時アメリカに広がっていったフェミニズムが本人たちの手になり声になって文学の世界にも表れているという解説だがさほどにも感じられない。当時の映画でよく見たケヴィン・ベーコンやトラボルタ主演の映画のシーンみたいな一コマの作品もある。好みもあるけどアトウッドとマンローの作品が印象的。前者のそれは文字が躍るような息づくシーンの描写と彼女の心情のリンクが面白い。後者はやはり彼女らしいペン。心を恐ろしいまでに抑えて、やや上から目線で淡々と乾いた文が綴られる。2017/07/14
かもめ通信
15
80年代後半に編まれたアンソロジーは“女性によって描かれた女性の物語”を集めたものだというのだがなかなかしんどい物語たちだった。それが当時のアメリカの荒んだ社会を反映したものだと言われれば、そうなのかもしれないとも思うが、夫や恋人や親子などのしがらみから解き放たれたかのように見える女は、捨て去ったはずのしがらみを強く意識している時点でしがらみそのものにしがみついているようにも思える。10篇の中に性に囚われず、強くたくましく果敢に生きる女性の物語が1つ2つ加えられていればまた印象が変わったかも知れないが。 2015/07/11
ののまる
10
女性作家が描いた女性たちの短編集。言葉にできないような、心や行間に渦巻く複雑な女性の気持ちは、やっぱり同じ女性にしか書けないんじゃないかな。こうして改めて読むと、ハードボイルドなどにありがちな、男性が決めつけている典型的な女性像が、アホみたいに思えてくる。2020/01/29
くさてる
8
80年代のアメリカ女性作家のアンソロジー。どの作品も、この世界に普通に存在する人々のちょっとしたドラマや生活を切りとってそのまま差し出しているような感じがする普遍的な感覚を扱っていて、物語のための物語ではない感じ。なのに、妙に落ちつかない感じになる読後感があったり、不穏な雰囲気がただ濃くなっていく空間がとてもスリリングだったり、一筋縄でいかない作品が揃っている。マーガレット・アトウッド、アン・ビーティ、リー・アリソン・ウィルソンの作品が特に印象に残った。2014/06/02
よしあ
3
なんというか、「女性作家が女性を描く作品」とくくると、地味というか、非日常でも日常に縛られてるような。突き抜けたところがなく、おんなの人はこんなことを考えてるんだ?ふ〜ん。…が多かった。イヤ、一概に言えるものではないが、わくわくはしないね。「すばらしい女」がオチが爽やかで面白かった。 2023/03/07