内容説明
はるかなむかし、サー・オルフェオという王さまがおりました。勇敢で慈悲深く、竪琴の名手でもあったサー・オルフェオは、人びとにしたわれ、幸せに暮らしていました。ところがある日、愛する妃ヒュロディスを何者かに連れさられたサー・オルフェオは、竪琴だけを手に、城をあとにします…。中世のイギリスで吟遊詩人たちが語りつたえた壮麗な物語を、「イメージの魔術師」エロール・ル・カインが華麗な絵本にしました。
著者等紹介
デイビス,アンシア[デイビス,アンシア][Davies,Anthea]
BBC放送のサウンドミキサーとして仕事をしながら、子どもの本を執筆
カイン,エロール・ル[カイン,エロールル][Cain,Errol Le]
1941年、シンガポールに生まれる。『ハイワサのちいさかったころ』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。1989年没
灰島かり[ハイジマカリ]
国際基督教大学卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
121
ル・カインらしさが出ている絵本です。イギリスの吟遊詩人の話をこのような物語に仕立て上げています。お妃が連れていかれた国というのはどのような国なのでしょう。日本でいうと黄泉の国かもしれませんね。似ているような話がありますがこの本はハッピーエンドで終わっています。2017/08/30
♪みどりpiyopiyo♪
53
古の世に、サー・オルフェオと呼ばれる王さまがおりました。勇敢で慈悲深い王でしたから、人びとにしたわれていました… ■久しぶりにエロール・ル・カインの絵本を手に取りました♪ 中世のイギリスで吟遊詩人たちが語りつたえた壮麗なロマンスが とてもシンプルに再話されていて楽しく、ル・カイン描く ケルトの意匠を凝らした絵で 更に優雅で重厚で奥深い世界が広がっています。■竪琴や純白の鷹などのディテールも幻想的。正統派の冒険物語にして流麗なロマンスでした。(1970年)2018/09/22
アルピニア
31
絵がとても印象的。ケルトの至宝「ケルズの書」の復元図を本で見たばかりだったこともあり、色使いや文様に引き込まれた。サー・オルフェオの竪琴に聴き入るモノたちの描写が幻想的で、音色を想像しながら読んだ。吟遊詩人に語り継がれてきた物語(長い詩)を短く再話したものとのことだが、灰島さんの訳は、詩の朗読のような格調高いリズムがあって読んでいて心地良かった。似たようなモチーフの昔話が各地にあるが、これはハッピーエンドなので楽しく読了。読み聞かせや劇でも味わってみたいお話だと思った。2016/12/14
小夜風
31
【図書館】読んでいて「これってオルフェウスの話だよね?」と思ったのですが、結末が違いました。訳者あとがきを読んでいろいろ納得しました。ギリシャ神話のオルフェウスの受難を、中世のイギリスの吟遊詩人たちが、ケルトの伝承と混ざり合わせて出来た物語。エロール・ル・カインの美しい絵を堪能出来ます♪2014/05/15
ヒラP@ehon.gohon
22
愛する妻のためには、地位も名誉も富も捨てて、姿を隠した妻を探しとおすというなんともロマンチックなお話です。 吟遊詩人に語り継がれた『ロマンス』という詩がもとになっているという説明でナットクです。 でも、中世の雰囲気を表現しているル・カインの古美術的な絵 が、何よりも素晴らしいと思いました。 物語を組み込んだ工芸のような絵を見ると、ル・カインは本当にイメージの魔術師だと思います。2015/03/23