内容説明
ぼくらは、老人ホームでおじいちゃんをみつけたんだ。それから、きゅうにいそがしくなった。やさしさとユーモアと、ヨーロッパで幅広い共感をよんだ物語。1994年ドイツ児童図書賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
165
二人の少年に出会ったんだ。美しい絹のスカーフをずっと愛していた。もう手元に残ったものは限られているけど、その一枚で思い出は溢れてくるんだ。夜になるほど気持ちは募っていくものだし辛くなるときもあるけど、花の香りにあなたの微笑みを思い出し、白い雲を追いかけていくんだ。あの夜を忘れたくないから。君たちは教えてくれたんだ。孤独や切なさは好奇心や純粋さに消えていくことを。鳥の歌声も澄んだ音色も、風にのって大空を舞っていく。口笛うまくなったね。もう一回吹いてごらん。きっと聴こえているよ。ほら、あの星だけ瞬いただろう。2023/04/23
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
52
とても素敵なお話でした。おじいちゃんが欲しいベッラ。老人ホームにいるニルスおじいちゃんを友達のウルフに紹介される。おじいちゃんと孫ごっこはどうなる事かと思ったら・・・。赤の他人でありながら時が経つにつれ、お互い必要な存在となっていく。天涯孤独なニルスおじいちゃんにとって幸せなひと時だった事でしょう。そして死についても悲しいだけでなく、相手の遺したもの受け継ぐという側面もある事を学んだ。(スウェーデン)2019/12/12
chiaki
43
友だちのウルフのように、おじいちゃんが欲しいベッラ。2人は老人ホームを訪ね、ベッラはあるおじいちゃんと出会います。なんの血の繋がりもゆかりもないベッラとニルスさん。コーヒーやお小遣いをねだる序盤は、ベッラのただの好奇心だったのかもしれませんが、やがて心を通い合わせる素敵な関係に。ベッラはきっと口笛を吹くたびに、ニルスさんを思い出すだろうな。『夏の庭』にも似て、切なくもとても温かいストーリーでした。2021/04/20
空猫
39
ボクのおじいちゃんは会いに行く度におこづかいをくれ、遊びにつれていってくれる。けれど友達のベッラにはおじいちゃんがいない。なら見つけにいこうと行った先は「老人ホーム」!!おじいちゃんがいないベッラと身寄りのないおじいちゃんの、血の繋がりはなくとも暖かい交流(友情)が始まり…てな、設定はちとアレだけど、老いや死を穏やかに描いた心暖まるお話でした。2022/10/28
あいあい
36
≪蔵書≫とても素敵な本。おじいちゃんのいない主人公の友人「ベッレ」が出会った老人ホームのおじいちゃん。本当の祖父と孫のように交流を深める二人。人生の終わりに思いがけないプレゼントをもらったニルス(おじいちゃん)はきっと幸せだっただろうし、ベッレもすばらしい経験をし、思いやりに溢れた少年に成長しただろうと、そう、思いました。そして、主人公ウルフも。短い物語に大切な時間をギュッと詰め込んだようなお話はウルフ・スタルクの子供時代をもとに書かれた。スウェーデンでは、芝居やドラマにもなるくらい人気のお話のようです。2015/06/10