内容説明
“ナチスがやってくるまえのことです。…あの子どもたちは、こんな町に住んでいました…”エルサレムにあるナチス虐殺記念館(ヤド・ヴァシエム)に残されたフィルムのなかからC・B・アベルスがえらび、虐殺にあった子どもたちがどんなふうに生き、かつ死んでいったかを、シンプルな文章で静かに告げる。おびただしい死にとりまかれた、忍耐と勇気の物語―今を生きる子どもたちすべてに語りつたえたい写真記録絵本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
48
第二次世界大戦において、ナチスのユダヤ人迫害・虐殺の犠牲になった600万人(推定)もの人々。その中には幼い子供たちもたくさんいた。まだあどけなさの残る子供の寒くてひもじそうな表情、住む家を追われ食べるものもない子供たちの写真に胸が痛む。「そう、わたしたちは、あの子どもたちをおもいださなくてはならないのです。」最後の文が訴える。忘れないで、ではなく、思い出さなくてはならない、と。2020/10/26
sui
29
詳細な文章はいらない。シンプルな説明文と、子供たちのありのままの姿を写した写真の数々が、命の重さを訴えてくる。残虐な写真がある訳ではない。でも。ユダヤ人だからというただそれだけの理由で、命を奪われた沢山の瞳があまりに美しく、胸に迫ってくる。思い出さなくちゃいけない、そして、忘れてはいけない。2017/04/30
ヒラP@ehon.gohon
25
忘れてはいけない、目を背けてはいけない、忌まわしい過去の事実を写し出した写真絵本です。 ユダヤ人は、どうして疎まれ迫害されなければいけなかったのか、子どもさえもその対象になったのか、その狂気は理解を遥かに超えています。 多分、子どもたちが未来を左右する力を持っていることへの恐れだったのでしょうか。 生なましい写真絵本ですが、作者の祈りを痛感しました。2021/08/05
けんちゃん
23
図書館で。ホロコーストの悲劇のビフォー・アフターのような写真絵本。ふっくらとした穏やかな笑顔の子どもたちが、クリスタル・ナハトを境に、家を追われ、ぼろ布をまとうようになり、痩せ衰えて、その多くは命を奪われていった…そのことを忘れてはならない、思い出さなくてはならない。でも一方でホロコーストを生き延びた子どもたちもいて、いまなお子孫と共に生き続けている。そのこともまた、悲劇を繰り返さない為には忘れてはいけない、思い出さなくてはならないこと。子どもたちの笑顔が痛いほどでした。2012/09/21
たまきら
18
図書館放出本。ユダヤ人のこどもたちの写真を通じて語りかけてくる言葉が簡潔で、すべての人の心に届く。事実はすべてを語る。あとは、どのようにその事実を受け止めていくか、だ。2016/06/03