内容説明
一体彼は自分でもわが軍の勝利を信じてるのだろうか?人間の命を賭けたこの恐るべき極東の遊戯に、どのくらいの人間を浪費したろう?今度第二艦隊を送ると、これが賭勝負の最後の元手を投げ出すことだ。ロシア水兵が見た日本海海戦。帝政ロシアが誇る大艦隊の激戦とその最期を、圧倒的な臨場感で描いた克明な記録。
目次
序章
アンドレーエフ旗の下に(タロンシュタット港;戦艦「アリヨール」 ほか)
希望峰のほとりにて(ロシアの海軍;スペインのウイゴ軍港に寄港 ほか)
マダガスカル(旅順艦隊の悲報;炎暑のクリスマス ほか)
艦隊はさらに東へ(石炭を積み込みながらインド洋を横断;マラッカ海峡へ入る ほか)
著者等紹介
ノビコフ・プリボイ,アレクセイ・シルイッチ[ノビコフプリボイ,アレクセイシルイッチ]
1877年~1944年。1933年刊の『Цусима』で後に第一回スターリン賞受賞。海洋作家として多くの作品を残す
上脇進[ウエワキススム]
1899年~1962年。鹿児島県出身。東京外語大学ロシア語科卒後、陸海軍通訳官、日魯漁業通訳、小樽ソ連領事館通訳、新京語学院講師等を歴任。戦後引き揚げて、ロシア文学の翻訳に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はまななゆみ
16
日本海海戦に向けてはるばるアフリカやインド洋等を越えてやってきたバルチック艦隊をロシア人乗組員が書いたドキュメントで、ロシア海軍のダメダメさが生々しく描かれている。日露戦争はいろいろな見方があるんだろうけど、とても興味深いです。2016/07/30
C-biscuit
5
坂の上の雲を読んだ際に、ツシマの話が出ていた。少し時間が経ってしまったので、細かなところを忘れてしまっているが、カムチャッカやアリヨールなど、の艦船が思い出される。日露戦争を別の立場から読むことができ面白い。すでに坂の上の雲で、ロシア側も詳しいが、改めて読むとロシア側の日本に対する恐怖を感じることができる。ある程度、時代の思想とロシアの文化立場がわからないと、このバルチック艦隊の遠征中の行動の意味がわりづらい。ただ、言えることは、負ける方の組織は愚かな指揮により、このように腐敗したものになるのであろう。2015/04/08
浮草堂美奈
3
読むのにスゴく時間がかかったけれど、中盤からノり出して一気読み。帝政ロシアの革命前の雰囲気が伝わってきた。自分もアリョールの水兵になっているところを想像しながら読んだ。2016/12/11
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