感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
111
海に浮かぶ二つの島。大きい島は王が支配し厳しい身分制度のもと、人々の役割が定められていました。小さい島の人々はみんな平等で、昔ながらの暮らしを営んでいました。大きい島の王は、領土を豊かにしようと「もっともっと」と求め続けるので少しも幸せではありませんでした。ある時、大きい島から金が発掘されました。欲に目が眩んで農夫は畑を耕さなくなり、漁師は魚を獲らなくなりました。ぎりぎりで保っていたバランスはあっさりと崩壊し、王は隣の小さな島に目をつけます……。現代社会を痛烈に皮肉った寓話。1982年10月初版。2015/10/23
KAZOO
105
この原作者による3冊目の絵本です(日本では3冊しか紹介されていません)。きめ細かな絵でみていて非常に引き込まれます。物語はかなり寓意的で、ある意味成長などを否定している感じです。ドイツの緑の党的な考え方(前回も書きましたが)を表しているとより感じました。2021/04/18
藤月はな(灯れ松明の火)
80
伯母の所蔵絵本。再読。小学生の頃、何度も繰り返し、読んだ絵本でした。そしてこの本はトラウマ絵本に取り上げられる『ぼくはクマのままでいたかったのに・・・』や『ウサギの島』の作家さんコンビの作品でもあるのだ!当時は対比的に描かれる二つの島を見比べるのが好きだった。でも物語は東北大震災やコロナ禍の今にも重なる人の欲とそれ故に起こる災害の恐ろしさを寓話として伝えてくる。島から土地を奪い、大きくなっていく大きな島。赤い岩の予言を成就させまいと画策するも、目先の欲に囚われ、荒廃していく大きな島の様子は痛々しい。2020/12/26
メタボン
33
☆☆☆☆ エコロジー、文明論、環境問題までも洞察する深い絵本。大きな島が崩壊寸前に至るまでの描写が壮大で圧倒される。とても絵本とは思えないスケール感だ。2016/02/21
gtn
32
戦時下の日本を思わせる。この物語に反し、こちらがちっぽけな島国で、相手が大国という違いはあるが。2021/11/15