感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
34
卵から芋虫、さなぎを経て蝶に至るまで本能のまま進行する。リンゴも身を食われるが、蝶のおかげで受粉することができ、秩序が成り立っている。本能が薄れつつある人間は、産まれて、ほったらかしにされたら生存できない。また、本能が欠如している分、自然の秩序にも疎く、平気で掟破りをしようとする。なのに、生物界の頂点にいると威張る。2021/10/22
ちえ
33
リンゴの中の芋虫を描いている初めの数ページはちょっと引いちゃう感じなんだけど、「りんごの中の虫はいったいどこから来るの?」という疑問に一切文章なく絵だけで答えている。その絵がまたリアルなのにシンプル。使われている色は黒、赤、緑、茶色の4色のみ。こんなにシンプルで美しい科学の本はなかなかないと思う。手元の本には解説(真船和夫さん)が挟み込んであり、これも読み返して、なるほどなあと思った。2019/01/14
anne@灯れ松明の火
24
(再読)イエラ・マリ展で、原画を観てから、傍に置いてある絵本も読んだ。シンプルな線と色。リンゴから蝶へ、そしてまたリンゴへ。イエラさんの絵本は、”循環”がテーマのものが多い。移り変わりがごく自然で、素晴らしい。子どもも楽しめる絵本だが、デザイン性も高いので、初めてイエラ作品を観た夫も感心して、見入っていた。2015/08/07
織町
21
“りんごの中の虫はどこからやってくるの?りんごの中の卵が幼虫となり、外に出てまゆを作り、さなぎから蝶になって、受粉を手助けするさまが描かれます。”文字のない絵本。線の美しいこと…。静止画のようでありながら、蝶が飛び立つ場面なんかは躍動感に溢れてる。満開の林檎の花に飛んでいく蝶の頁が好きだな。虫食い林檎は外から来るんじゃないんだね。甘い果実も子孫を残すための植物の知恵で、卵を産み落とすことで受粉をする。生存するための虫の知恵でもあるんだなぁ。子供が見たらどんな風に感じるんだろう。いつか子に贈りたいなぁ。2018/01/26
かおりん
16
1976年出版の字のない絵本。りんごのなかから虫が出てくるのは衝撃的だけど、色使いがきれいなので気色悪さを感じない。りんごの中の卵が幼虫になりやがて果肉の外に出て繭を作りサナギからちょうになる。解説が補足してくれて勉強になった。虫のついた果物や野菜は手作りでないと見ることはないよねぇ。2019/02/28