出版社内容情報
キャサリン・バーキンショー[キャサリン バーキンショー]
著・文・その他
吉井 知代子[ヨシイ チヨコ]
翻訳
内容説明
昭和二十年八月六日、一発の原子爆弾でユリコはすべてを失った―。日系アメリカ人著者が、母の被爆体験をもとに描いた物語。
著者等紹介
バーキンショー,キャサリン[バーキンショー,キャサリン] [Burkinshaw,Kathleen]
ノースカロライナ州シャーロット在住の日系アメリカ人作家。広島被爆二世。妻であり母。ニンジャのようにキッチンにしのびこむ愛犬と暮らす。広島で被爆した母の体験を語り継ぎ、中学校、高校を訪問し生徒に伝える活動を10年間つづけている。2019年にはニューヨークの国連にて講演を、2021年には、広島平和記念資料館が開催したオンライン講座「アメリカで活動する被爆二世―ヒロシマ被爆者の娘たち」に登壇した。本書は国連軍縮部による教員と生徒向け推薦図書に選定されたほか、アメリカ各州での推薦図書に選定されている
吉井知代子[ヨシイチヨコ]
翻訳家。大阪市立大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
81
児童書。被爆二世の著者はアメリカで、母親の被爆体験を子供たちに伝える語り部活動をしている。広島原爆投下直前の1年間の、12歳の少女の生活を丁寧に描く物語。母の子供時代をモデルにした物語は、少しノスタルジックで一部現実とは異なる点もあるが、当時の広島の生活を子供たちに知らせたいという思いを強く感じる▽ユリコは広島の裕福な家庭で育つ。父は新聞社の経営者で、母親のいないユリコを「嬢や」と愛している。同居しているキミコおばさんとは気が合わないが、親友のマチコは愚痴を聞いてくれる。戦時中不便はあるけれど幸せだった2023/03/29
茜
61
広島の原爆投下の一年前から物語は綴られている。裕福であったとは言え、戦時下でも普通の暮らしが営まれていたんだなぁと思いました。途中で挟まれるユリコの出生の秘密にはちょっと驚かせられました。このような書籍がアメリカの学校で多く読まれているのは次世代に戦争の悲惨さを伝えるにはとても良いと思いました。なにしろ、核爆弾が使われた唯一の国の物語ですから。2022/10/21
mocha
59
【西日本読書感想画コンクール指定図書】著者は日系アメリカ人であり被爆二世。母の体験を元に描いた物語。広島に住む裕福なお嬢さんだった主人公は、戦時下でもそれなりに幸せな日々を送っているが、家族には複雑な事情があった。ミステリアスな家族のドラマとしても惹きつけるものがあるが、8月6日その日の描写は辛く、ピカドンに根こそぎにされた日常が重たく迫ってくる。今日は78年目の8月6日。この本がアメリカの子ども達に平和の種を蒔いてくれていることが嬉しい。2023/08/06
たまきら
44
アメリカの高校では「原爆投下は戦略的に正しかった」と教わりました。キノコ雲を同級生が「クール」って言ったら…う~ん…。戦時下の日本だけでなく、家族の歴史も悲しかった。けれど読後感は新たなスタートを感じさせて、さわやかでした。2023/06/26
まる子
28
広島県呉市で12歳だったユリコ。被爆し大人になった彼女がアメリカ人と結婚してアメリカに住み、娘と孫に恵まれた。その娘さんが母から聞いた話を一部はフィクションにしてアメリカで出版。今年、日本に翻訳版が。被爆2世の娘さんは現在、免疫系の体調不良に悩ませられていると。日本での生活を伝えたく、昭和19年から話は始まり、ピカドンと言われた原子爆(核兵器)が人々に与えた恐ろしさをしっかり伝えていました。最後にみんなと見たお花見の桜、原爆投下後は75年間咲かないと言われていた桜が翌年に咲いていた。2022/10/13