出版社内容情報
神様に見捨てられた私を助けてくれたのは、
同じアパートに住むゾンビのおじさんだった。
川をはさんだ向かいの町に、母と引っ越してきた小学生のあんず。いじめられていたあんずを助けてくれたのは、同じアパートに住むぞんびのおじさんだった。
孤独を受け止められないあんずと、孤独とともに生きるぞんびのおじさん。
お互いの存在が、それぞれの人生へのかすかな光となる。
ポプラ社小説新人賞奨励賞作品。
内容説明
川をはさんだ向かいの町に、母と引っ越してきた小学生のあんず。いじめられていたあんずを助けてくれたのは、同じアパートに住むぞんびのおじさんだった。孤独を受け止められないあんずと、孤独とともに生きるぞんびのおじさん。生きているのか、死んでいるのか分からない毎日を生き延びる二人にとって、お互いの存在が、それぞれの人生へのかすかな光となる―。ポプラ社小説新人賞奨励賞作品。
著者等紹介
坂城良樹[サカキヨシキ]
京都府出身。2023年第12回ポプラ社小説新人賞奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まる子
21
ポプラ社小説新人賞奨励賞作品。両親の離婚から生活環境が変わり、母と団地で生活、食事の支度、買い物をする小学生の「あんず」はイジメを受けるようになった。同じ団地で知り合った「ぞんびのおじさん」は"あぶなくない方"らしい。わずかな仕事をしながらつつましく生活するおじさんへの誹謗中傷や差別が痛くて辛い。事故に巻き込まれた「あんず」は「おじさん」の言葉に救われていくのだけれど、辛いことが再び三度続く。同じ団地の住民、母親との関わりの中でスピーチを決意する!あんずのスピーチは周りを変える事ができるのか?!2025/06/04
雪丸 風人
12
これは空想話なんかじゃない!一人の大人として「絶叫」を現実に噛み締める必要があると感じました。主人公は親の離婚で生活が一変した小学生。引越し先で過酷な運命に晒された彼女が、アパートでの出会いや驚愕の出来事などを機に、劇的な変化を見せていきます。奇病で差別され、世捨て人のようだったおじさんのさりげない優しさと真の強さが胸に響きましたよ。中盤までの哀しみに染まる日々は重くゆっくりで、正直、やきもきする瞬間もありました。ですが、終盤にかけての弾けるような勢いは最高に気持ちよかった!(対象年齢は13歳以上かな?)2025/05/24
ダック
1
コロナみたいな「ゾンビ」のパンデミック後の世界。確かに子供の頃は神様がいるとか、なにか悪いことをするとバチが当たるとか思ってた。あんずのスピーチは良かったけれど、そこに向かって話を収めようとしている感が少しあったかな。2025/06/22
うさぎ
1
あるウィルスに感染するとゾンビになる世界。小学生のあんずはゾンビのおじさんと知り合い、社会にある差別や偏見について知る。おじさんや同じアパートの住人たちとの交流を通じて、それらと闘うあんずの頑張り。小中学生にも読んでほしい。2025/06/16
口車の弥七
1
ソンビのようなおじさんなのかと思いきや、本物のゾンビ設定には意表を突かれました。小学生の女の子が、ウイルスに侵されてゾンビになってしまったおじさんと交流する話し。現代社会のあちこちで虐げられたり蔑まれたりしている人たちがいて、それをここではわかりやすくゾンビになっているだけ。ゾンビだから何をしてもいい、ゾンビは出ていけと排斥され、いじめ問題も絡めてわかりやすく書かれています。反省すること多いな。これからは君たちがいがみ合いの無い社会を作ってね。なんて良く聞くし口走ってしまうけど、まずは自分でやれ、だよね。2025/06/11