出版社内容情報
かつて京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されても悠然と目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。彼はいったい何者なのか? 新人警察官・木戸は街の人たちが噂するこの男にしだいに心惹かれていく――。実在した伝説のホームレスをモデルに、遷りゆく時代の影と人間の運命を描いた傑作長編。第10回京都本大賞受賞作。巻末に著者の特別エッセイ「一九七九年という時代」を収録。
内容説明
かつて京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されても悠然と目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。彼はいったい、何者なのか?新人警察官・木戸は街の人たちが名づけ噂するこの男にしだいに心惹かれていく―。実在した伝説のホームレスをモデルに、遷りゆく時代の残影と人間の運命を描いた傑作長編。第10回京都本大賞受賞作。巻末に作品の時代を巡る著者の特別エッセイ「一九七九年という時代」を収録。
著者等紹介
増山実[マスヤマミノル]
1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。2013年、『勇者たちへの伝言』(第19回松本清張賞最終候補「いつの日か来た道」を改題)でデビュー。同作で第4回大阪ほんまもん大賞受賞。2022年、『ジュリーの世界』で第10回京都本大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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里愛乍
63
ジュリーの月命日でもある昨日5日に誓願寺さんで増山実先生のトークイベントがあり、実際した彼の思い出と共にあの頃の新京極から河原町に思いを馳せる参加者が集まった。当人ではなく、彼を見る側の視点で本書を書いたのは彼に対する想いは其々に持っているから、増山氏はそのひとりとしての目線での彼を書いたという。「SNSの無い時代だからこそ河原町のジュリーは語り継がれている」と語る参加者の男性。そう、おそらくはたぶん永遠に。其々の記憶の中に。この本も彼を目撃していたひとりの記録にすぎないが、その存在に心から感謝したい。2024/03/06
のんちゃん
30
かつて京都に実在した伝説のホームレス「河原町のジュリー」と彼を取り巻く人々、そしてそれからの時代の変遷を描いた物語。舞台は1979年京都。三条京極交番の新人巡査木戸は浮浪者の河原町のジュリーを知り興味を抱く。一人の男の一代記であり、もう一人の男の目を通した時代の移ろいの証左でもある。増山作品は3冊目読了だが、どの作品も内容の濃度が高く、読後疲労するが、長い間その余韻に浸ってしまう。本作に関しては私がもっと京都の地理に明るかったら理解ももっと深まっただろう。最終頁を閉じた時は悲しくないのに何故か涙が出た。2025/02/09
しげき
25
「河原町のジュリー」と呼ばれたホームレスの男が主人公の話。当時京都に住んでた人の間では結構有名らしく、興味深く読みました。著者の作品を読むといつも切ない気持ちになります。この作品も例外ではありませんでした。2024/02/26
❧nao❧
17
その昔、「河原町のジュリー」と呼ばれるホームレスがいました。これは本当。私も何度か見かけたことがありますが、確かにその超越した雰囲気は「凄い過去があるのではないか?」と思わせるのに十分でした。フィクションとノンフィクションがうまく絡まっています。当時の京都を知る者には懐かしさ満載。2023/10/26
ベローチェのひととき
16
妻から廻って来た本。かつて京都に実在したという有名なホームレス「河原町のジュリー」を題材としたフィクションである。ジュリーは河原町近辺を行動範囲としており祇園方面には行かないが、冬の朝、凍死して見つかったのがなぜか祇園の先の八坂神社の階段を登った先だった。なぜ、八坂神社まで行ったのか?最後に理由が判明します。強烈な出兵体験は精神を変えてしまうものなんですね。2025/02/14
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