出版社内容情報
吉川 トリコ[ヨシカワトリコ]
著・文・その他
内容説明
家族仲がしっくりいかず、生き方に迷う主婦。16歳になる直前まで自分が在日韓国人だと知らなかった姉妹。ゲイであることに葛藤する男子高生。血の繋がった子どもを持てなかった母親。卒業式の日にプロムを開催すべく奮闘するモーレツ女子高生たち―ままならない日常に、悩み惑う人たちの踏み出す一歩が、あなたの背中をそっと押してくれる。明日もがんばる元気をくれる連作短編集。
著者等紹介
吉川トリコ[ヨシカワトリコ]
1977年静岡県生まれ。2004年「ねむりひめ」で「女による女のためのR‐18文学賞」第3回大賞および読者賞を受賞。同年、同作が入った短編集『しゃぼん』にてデビュー。21年、愛知県芸術文化選奨文化新人賞を受賞。主な著書に、映画化された『グッモーエビアン!』、22年第35回山本周五郎賞にノミネートされた『余命一年、男をかう』のほか、最新刊は、第1回PEPジャーナリズム大賞オピニオン部門受賞「流産あるあるすごく言いたい」を収録したエッセイ『おんなのじかん』(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みかん🍊
97
馴染みある名古屋が舞台の連作短編集面白かった、地味なおばさんがドラゴンズのママチアになる「ママはダンシング・クイーン」メンバーやその子どもたちの高校の教師の国籍問題、LGBT、養子縁組とままならない日常を描いてはいる、最後の「プロムへようこそ」は卒業を控えた高校生たちが進学校で自由で平等なプロムを最後の思い出に開催したいと翻弄する、まさにザ青春、流れ星の様に目の前を流れていくものの中から自分の好きな事は自分からつかまえに行って自分も輝かなくては、やりたい事をやっちまおうと前向きな作品2022/11/15
そら
90
母親たちはママさんチアに、子供たちは卒業式後のプロム開催へ、青春を取り戻す、または謳歌するために奮闘する生きる勢いに溢れた連結短編集。在日韓国人の姉妹や、ほんのりゲイに目覚める男子高校生などの要素も盛り込まれ、アメリカ・韓国映画やダンスミュージックのタイトルもわんさか登場。目まぐるしく怒涛のように展開していくが、読み流しの軽い読書にちょうど良いと思って気軽に読んだが、ラストのプロムへの熱量には着いていけず。映画や読書も「その時の自分の年齢やコンディションによって受け取りかたが変わる」ことには大きく共感!2022/09/30
やも
88
子世代の青春×母たちの青春?青春やりなおしてんの、と母世代が言うように、いつだって心には思春期の自分がいるのかも。途中までは面白かったんだけど、最終話のノリに乗れなかったなー。そんなプロ厶プロムって…全員が楽しめるイベントなんてもんはないと思うんだよな。別にイベントなんか無くてもいいし。それなりに健康で、好きな人たちと笑って話す時間があって、美味しいご飯が食べられて、布団で寝られる。私はもうそれで十分、プロムはいらん。一生忘れられない事って思春期にもあるけど、もっと普遍的な大事なことってあると思う。2023/02/25
chimako
85
名古屋に住むおばさんたちが「チアドラママ」に応募する。そのおばさんたちの家族のあれやこれやの連作集。名古屋弁飛び交う会話は声に出して読んでしまう(笑)一話目の主人公なっち。おばさんを自称する正真正銘のおばさんだが青春を取り戻すべくチアに挑戦する。仲間の夕子さんの息子やデラさんの孫、なっちの娘 葉月の通う高校の先生、そして、葉月やその友達美鈴(母親はみやっち)の物語が何だとても賑やかに展開していく。自分のセクシャルに気付き悩み、出自を教えられ嫌悪しやがて受け入れる。狭い世間でそれぞれが抱える宇宙は広い。2022/12/01
ででんでん
77
ほんとうに、いろいろあるけど、それぞれの場所から、ジャンプしてみようよ。そうしたら、ズデンと落っこちて、痛い思いをするかもしれないけれど、もしかしたら流れる星をつかまえられるかもしれないよ。そんなメッセージをもらえた。そして、トリコさんのメッセージの手渡し方が、ひとつひとつ心にしみ込む作品だった。老若男女いろんな立場で、みんな、もがいている。2022/10/24