出版社内容情報
伊吹 有喜[イブキユキ]
著・文・その他
内容説明
遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても、屋敷の大人たちや、自分を導いてくれる言葉、小さな友情に支えられて子ども時代を生き抜いてきた。時が経ち、時代の流れの中で凋落した遠藤家。常夏荘はもはや見る影もなくなってしまったが、耀子はそのさびれた常夏荘の女主人となり―。ベストセラー『なでし子物語』シリーズ第三巻。
著者等紹介
伊吹有喜[イブキユキ]
三重県生まれ。出版社勤務を経て、フリーのライターに。2008年『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。二作目の『四十九日のレシピ』がドラマ化・映画化される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
155
シリーズ共通のキーワードとも言える『どうして』と『どうしたら』という言葉の登場が物語に一つの起点を作るこの作品。そこには『江戸の昔から山林業と養蚕業で栄えてきた』遠藤一族が平成の世に生きる姿が描かれていました。シリーズとしての物語の奥行きがそれぞれの人物像に奥深さを感じさせるこの作品。まさかの”お仕事小説”として、今までに見ることのなかった、それでいて極めて耀子らしい生き方の選択に心ときめくこの作品。伊吹さんがこの作品に込められた深い思いを耀子の最後の選択にはっきりと見ることのできた素晴らしい作品でした。2023/03/27
カブ
38
「なでし子物語」第三巻。幼かった耀子と立海も大人になった。寂れていく常夏荘。まだまだ途中の物語。だからといって結末は…。ずっと読んでいたい物語。2022/10/10
hrmt
28
シリーズ最終巻は耀子の物語。龍治と結婚して子どもの療養のために峰生に戻ってきた耀子。バブルを経てかつての遠藤家の隆盛も斜陽に向かう。そんな中で持ち上がる常夏荘の売却話。大切なものを守る為に、自分の足で歩こうとする耀子。大切なものを守る為に、峰生の呪縛から解き放とうとする龍治。峰生の日々と共に耀子を忘れられない立海。誰もが優しく、強く、励まされ、そして切なかった。最終巻がいちばん好き。裕一の宝物を引き継いで守る龍治推しの私は、願わくば龍治の物語を読んでみたいと思った。2022/10/03
ピロ麻呂
28
なでしこ物語3部作、これだけテイストが全然違うんだけど…お仕事小説的?龍治のキャラがガラッと変わり悪役になってない?耀子が立海と不倫しそうな勢いのラスト…続編がでるのかな?2022/09/22
Sakura
20
シリーズ3作目。2巻目を読んだ後しばらく余韻に浸ろうと思ったのだけれど、やっぱり待てずに読み終えてしまった。前巻から更に10年後、燿子は28歳。娘の瀬里と共に常夏荘に戻って、なんと「おあんさん」になっている。燿子はスーパーで働き始める。なぜにスーパー?と思いながらも、過疎化した田舎では働く場所もろくにないことがわかってくる。一族の由香里も現れ、急にお仕事小説になったのはびっくりだったけれど、燿子の自立につながっていく。いつも不安そうで自信のなかった燿子が意志を持って動き出したことに感動。次巻が待ち遠しい。2023/02/01