出版社内容情報
山本 幸久[ヤマモトユキヒサ]
著・文・その他
内容説明
24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていく。花を求めるお客さんの事情はそれぞれ。誰かを祝う花もあれば、少し切ない花もある。いろんな想いが詰まったお花を届けているうちに、紀久子は自分の心にもう一度向き合いはじめ―
著者等紹介
山本幸久[ヤマモトユキヒサ]
1966年東京生まれ。2003年『笑う招き猫』(『アカコとヒトミ』を改題)で第16回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
210
相変わらず期待通りの山本さんワールド。今回のお仕事は花屋さん。とあるブラック企業をやめて、ふとしたきっかけから花屋さんでアルバイトするコトになった「紀久子」。ちょっと強引かつ適当な女性店長や元国語教師のパートさん、謎の研究者など個性豊かなメンバーに囲まれ、過ごしていきます。グラフィックデザイナー志望だった彼女のもとにポツポツ仕事も入ってくるようになり、改めて自分のこれからを見直すように。とにかく何事も前向きで一生懸命な主人公の姿に胸をうたれます。山本さん、相変わらず誰一人イヤなやつがいないのがステキです。2022/06/02
future4227
198
今年、栄東中、本郷中、田園調布学園中の入試に出題された本。花屋さんの話ってあまり興味がなかったのだけど、読み始めたら面白いのなんのって。花びらと思っている所は実はガクだったり、節句の話や花言葉、和歌や俳句など花にまつわる様々な蘊蓄を交えながら心温まるストーリーが紡がれていく。ブラック企業を辞めて花屋のバイトを始めた主人公が、花を通して仕事の楽しさや自分の生き甲斐を見出していく。花屋を取り巻く様々な人たちによって人情溢れる人間関係の輪が広がっていく。そして、恋も。なんと幽霊までも。「満天星」読めないよ~。2023/11/18
kotetsupatapata
195
星★★★☆☆ 山本さんの最新刊は花屋が舞台 ブラック企業で身も心もズタボロになり、花屋で再起を図る紀久子の成長や周囲の人達との交流を、様々な季節の花や花言葉が優しい切り口で彩るストーリーでした。 山本さんの作品らしく、登場人物が皆それぞれに悩みや複雑な思いを抱えてますが、道は曲がりくねっていても前向きに歩んでいく様は好感が持てます。 派手な展開では無いですが、読後皆の背中をそっと押して励ましたくなるのは流石は安定の山本作品 2022/03/22
あすなろ
151
前向きに目の前にある仕事に取り組む姿が爽やかさをいつも呼ぶ山本氏作品最新刊。本作もその印象。ただ正直、前作の人形姫程ではなかったが、花屋にて繰り広げられる世界は知らぬ事もあり、頁は軽やかに進む。そして、やはりのハッピーエンド。今に喜びを見つけ前向きに仕事と共に生きる。この姿を読者は眺めてホッとしたり前向きになれるのである。2022/08/14
Kei
130
ブラック企業を退職する際に、たまたま居合わせた花屋の女主人のお店に就職することになった、デザイナー志望の女の子の成長物語。街の花屋の仕事、仕入れて、手入れしての案外の重労働や、花にまつわる様々な逸話や花言葉を、物語を彩る周りの人々にからめて展開していく。また、その人達がとっても魅力的です。配達先のご縁で、本来の主人公のデザインの仕事が発展したりしても、ちょっと楽しい。表紙を見てください。ほのぼのとして、お花がいっぱい。良作でした。2022/09/17