出版社内容情報
栗沢 まり[クリサワマリ]
著・文・その他
中田 いくみ[ナカタイクミ]
イラスト
内容説明
「消えろ」と言われても、わたしは消えない。だから、きみも消えないで―卒業まで2週間。自分たちの「卒業」、そして「明日」をさがす15歳たちの物語。
著者等紹介
栗沢まり[クリサワマリ]
公立中学校で国語教諭として勤務した後、塾講師、学習支援塾のスタディアドバイザーなどを経験する。『15歳、ぬけがら』(講談社)で第57回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。日本児童文学者協会会員。「季節風」同人
中田いくみ[ナカダイクミ]
埼玉県生まれ。日本と台湾をおもな拠点にして、個展などで作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
83
受験も終わり卒業祝賀会と卒業式を待つばかりの中学三年生。祝賀会の実行委員長になった美咲は正しいことが好き。正しいことは良いことでその枠にはまらない生徒や行いに鋭い言葉をはく。祝賀会のメインは子どもの頃の写真のスライドショーと親への感謝の手紙。クラスには一人、子どもの頃の写真を持ってこない生徒がいる。彼の名前は渡辺和也。子どもの時の写真がないなんて思いもよらない実行委員の面々。彼の心の声が灰色のページに吐き出される。手紙を書きたくない生徒もいる。想像力がどれだけ大切かを知った彼らのこれからにエールを送る。2022/12/20
ゆみねこ
81
卒業前の2週間、伝統の卒業祝賀会の実行委員たち。幼い頃の写真と現在の写真を使ったスライドを作り、親への感謝の手紙を書く。しかし、写真を提出しない和也、手紙を書けない宮下、優等生で強い美咲は決められたことをやれない彼らを理解することが出来ない。同じ実行委員の哲太は、和也の家庭のことが分かる。和也を居ないものとして祝賀会を決行して良いのか?わずか2週間での彼らの成長が垣間みえ、素敵な1冊。親や教師の言いなりになることが良い子ではない。和也の未来が明るいものであって欲しい。2022/12/21
☆よいこ
76
YA。中学3年生、卒業まであと2週間。地域の伝統行事として行われている『卒業祝賀会』は子どもの頃の写真を流すスライドショーと親への感謝の手紙贈呈を行う。委員長として祝賀会を成功させたい秋山美咲は、写真を提出しない渡辺和也が気に入らない。1月に転向してきていつも給食の時間にしか来ない和也は誰にも心を開かないわがままな奴だと思っていた。けれど食料品店の息子、哲太が和也のことを気にして弁当を届けていることを知り、「子どもの貧困」「虐待」が現実にあることを知る。子供は何もできない?大人に任せておけばいいの?2022/06/27
ぶんこ
46
卒業を2週間後に控えた中学3年生の「卒業祝賀会」実行委員。たった2週間のこととは思えないほどの美咲の成長でした。しっかり者でまがったことが大嫌いな優等生が、正論だけが正しいとはいえないと気づく。人を思いやることができる人になっていく過程が厳しかった。特に、人生のお手本と尊敬していた前田先生と母親の考え方に違和感を覚えてからが切なかった。同級生の実行委員哲太が和也を思いやる真摯な姿勢に影響される。児童虐待への向き合い方が大人も子どももそれぞれで、確かに難しい。それでも和也には幸せになって欲しい。2022/11/08
HISA
12
☆☆☆はじめは、優等生すぎる美咲がちょっといやだったけど、友達のことや自分達が企画する祝賀会のことを真剣に考える中学生に本当に感動した。そして、前田先生や美咲の母親の言葉が胸くそ悪いわーと腹がたったけど、自分も大なり小なり面倒なことには目をそらして、都合よく生きてる。もっと人の事を思いやる気持ちを持たねば!中学生に教えてもらった。2022/09/09