出版社内容情報
田牧 大和[タマキヤマト]
著・文・その他
内容説明
「迷い猫、探します」という風変わりな看板を掲げる、小さな古道具屋「おもかげ屋」。店主の柚之助はめっぽういい男だが古道具にしか興味がなく、商いに精を出さずに日がな猫と戯れてばかりだが、古道具にまつわる客の「困りごと」を解決してくれるという。そんな噂を聞きつけて、いろんな事情を抱える訳あり客が今日もお店を訪れて―。古道具に詰まった「人の想い」が心に染み入る、温かな人情時代小説。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年東京都生まれ。2007年「色には出でじ 風に牽牛」(『花合せ』)で小説現代長編新人賞を受賞。著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
104
いつものように猫は賢い、けどなんかもどかしい作品でした2022/06/16
タイ子
87
古道具屋の主人は超イケメンの若者・柚之助。ただ、人嫌いなのが難。彼を人嫌いにさせたのは幼少の頃の嫌な想い出。店番をするのがおさよちゃん。おさよちゃんがこの店に来たのも辛い辛い生活から逃れるため。この下りは涙です。そして、柚之助の育ての親・菊ばあ。物語のあちこちに登場する飼い猫たち、総勢6匹。「鯖猫長屋」と重なる部分もなきにしもあらずだが、これはこれで味があってよろしいかと。古道具に関する訳あり人に寄り添ってしまうのも優しさゆえ。世知辛い世の中だけど誰かが側にいてくれる、そんな優しい物語。続編はないのかな。2021/12/23
真理そら
83
猫と古道具なのでファンタジー方向の話かと思って読み始めたが、猫はワラワラ登場するが普通の猫。古道具がいっぱい登場するが付喪神ではない。猫の多い古道具屋の若くて美しい店主・柚之助は人嫌い。そこで店番兼猫探し屋をしているさよは人が怖い(特に中年の女の人)。この二人が少しずつ対人関係を結んでいく物語だけれどシリーズ物の一作目だろうか、柚之助の父の言い訳もさよの実家の始末の付け方もいま一つ釈然としない気持ちで読み終えた。2022/02/09
雅
67
新たな猫シリーズ⁉優しさを感じられる作品でした2022/02/25
ぶんこ
48
会う人を古道具に置き換えて考えてしまう柚之助が営む古道具屋「おもかげ屋」。この名前をつけた祖母の菊ばあの「どんな道具にも、作った人、使った人の想い、その面影を宿している」という言葉に感嘆。菊ばあと柚之助は、不祥事に逃げ出した卓蔵と、さよには実の祖父、母から水も与えられずに監禁された過去があった。そんな人嫌いになる過去を持ちながら、たくさんの猫と、頼りになる両さん、左右田さんに守られて穏やかな生活をおくれているのが何よりです。しかし、家族を放って逃げた父の悪気のなさに絶句。2024/02/09