出版社内容情報
太郎は異父きょうだいの姉・さくらの結婚式に出るため、久しぶりに故郷に帰った。平凡ながら温かい結婚式、無事に終わるかと思ったところに「珍客」があらわれ、ちょっとした騒動に。小さな漁港の街・静岡由比と、東京のアパートを行き来しながら繰り広げられるこの物語は、離れて暮らす家族の物語だ。かつていちばん身近にいた人は、あの時なにを思っていたのか……。それぞれの新たな旅立ちを描く、胸熱くなる青春小説。
目次
六月 太郎、結婚式に出る
七月 太郎、カノジョの親と会う
八月 太郎、人と住む
九月 太郎、漁港で海を見る
十月 太郎、故郷の皆と飲む
内容説明
太郎は姉さくらの結婚式に出るため、久しぶりに故郷に帰った。平凡ながら温かい結婚式、無事に終わるかと思ったが「珍客」があらわれ…。小さな漁港の街と東京を行き来しながら、太郎は身近な人たちの思いに気づいていく。離れて暮らす家族の新たな旅立ちの物語。
著者等紹介
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
千葉県生まれ。2006年『裏へ走り蹴り込め』でオール讀物新人賞を受賞。2008年、『ROCKER』でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。著書に『ひと』(2019年本屋大賞2位)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
166
ほっこり癒し系の名手小野寺さん作品にしては、時折ちょいちょいとスパイシーな作品と感じました。結果的にはしっかりといつもの小野寺ワールドで、安心してゴールできます。のんびりモノの「太郎」と六歳歳上の姉「さくら」の仲良し姉弟の話で、姉が結婚するトコから話は始まります。幸せモノの姉ですが「太郎」と「さくら」にはちょっとした事情が。個人的に主人公「太郎」のおっとり&のんびりキャラがちょっとイマイチハマれませんでしたが、相変わらず主人公を囲むサブキャラ達が抜群で、特に朝野球チームで先輩の「安藤さん」がナイスでした。2020/11/21
あすなろ
81
小野寺氏らしい温かさある人間関係を描いた一作。特に何かしらあるという訳ではないが、例えば家族というものや、お姉ちゃんが姉ちゃんとなる、そうしたものを描いている。そうした過程や心情描写が小野寺氏らしく温かく、読み手として癒されるのであろう。2021/05/30
itica
70
異父姉弟のさくらと太郎。さくらの結婚式に呼ばれてもいないさくらの父親、野口さんが現れた。太郎と野口さん、太郎とさくら、太郎の会社の野球チーム、彼女、地元の友人などなど、太郎の目を通して人との関わり方を思う。太郎は名前も平凡なら、良くも悪くも平凡な、どこにでもいるような青年だ。さらに言えば損するタイプの不器用さと鈍感さを持ち合わせている。でも、だからいい。太郎を見ていると肩の力が抜けてほっとするんだな。小野寺さんは普通の善良な人を描くのが本当に上手い。 2022/12/01
はつばあば
53
普通って言うものがどうだかわからないが父親違いの姉弟のよくある話。・・だったんですが、何というかほんわかと優しさが漂ってきて、なにも妖に逃げないでも優しい人間もいるじゃないか!って言うのが本音。イヤミスだとかイジメだとかわざわざ本にしなくてもこのコロナのご時世。30も回った亭主がたった生後2ヶ月の子を、自分の赤子を虐待するか?って。子供の出来ない夫婦は不妊治療してでも子を授かりたいって思っている夫婦もいるって言うのに!。この作家さんの読みたい本がいっぱいあるのですが文庫を探すのが大変です(^^;。 2021/02/07
三代目けんこと
47
家族と友だちと故郷の普通の物語。しかし、なんだかホッコリとして、優しい気持ちになれる好きな本。9番・ライト 太郎、頑張れ!2020/09/08