出版社内容情報
内定のないまま卒業式を迎えたマヒコは、ひょんなことから東京の下町にある築100年の銭湯「刻の湯」に住むことに――。!
内容説明
「当たり前」の就職活動になじめず、内定のないまま卒業式を迎えたマヒコ。仕事も住居も危ぶまれる中、ひょんなことから東京の下町にある築100年の銭湯「刻の湯」に住むことに。そこにはマヒコに負けず劣らず“正しい社会”からはみ出した、くせものばかりがいて―。
著者等紹介
小野美由紀[オノミユキ]
1985年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。2011年、震災を描いた絵本「ひかりのりゅう」の発売のためクラウドファンディングを立ち上げ、2014年に出版(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秀玉
20
感想って、性善説で書かれている場合が多いと感じている。この小説も、そのように書こうと思えばそうなる感じの内容。主人公の眼から仲間たちが描かれ、主人公も成長する作品だが、この手の作品として思い出されるのが加納さんの作品「二百十番館にようこそ」。これは良かった。始まりと終わりがきっちりと描かれ、各人の個性と特技がわかりやすい。このメゾン…にはそれがない。なんとなく個性ぞろいの居候たちだが、深くは描かれず、小説に感情移入できない。さらに最後の章では、これまでの主人公の視点から変わり、その後の主人公は描かれない。2023/04/10
sugar&salt
12
あまり心惹かれる内容ではなかったので、なかなか読み進められなかったなー。刻の湯はいろいろな悩みや過去を持つ住人たちにとっての羽を休めるための止まり木的な場所だったのかな。最後どうなるのかなと思ったけど…アキラさんのけじめとかマヒコくんやリョータの過ごした日々とかもう少し描いてくれてもいいのでは?ってモヤモヤが(´-ω-`)2020/07/12
onasu
11
「めぞん一刻」かと見紛うタイトルですが、全然関係ありません。(笑) 大学は卒業したが就職にはあぶれたマヒコが、幼なじみの蝶子に呼び出されたのは下町に古くからある銭湯で、そこには蝶子を始め、道に迷った若者が何人か銭湯の手伝いをしながら、裏手の家に暮らしているのだった。 舞台はいいし、前半の爺さんや子どもの登場もいいが、後半のリーダー的存在のアキラの秘密と、そこらから急にフツウになるマヒコは如何なものか。 オーナーの爺さんもいいキャラだし、今っぽい問題にも触れているし、変に背伸びしなけりゃよかったのに。2021/06/18
ぷに丸
8
銭湯で暮らしながら、それぞれが自分の生き方を見つけていく成長の姿もありながら、ぶつかる困難の大きさに切なくなることもありました。クセの強い人々が共同生活を通して、色々な形で心をお互いに通わせていくところが素敵だと思いました。2020/02/03
もも
7
銭湯大好きなので思わず惹かれてしまいました。 不思議と、今欲しい言葉がたくさん散りばめられていた小説でした。 みんなそれぞれ胸のうちに色々な想いをかかえていて、「普通ってなんだろう?」を考えさせられる作品です。 人間関係は惑星のよう。それぞれの軌道に乗って回っていて、あるタイミングで別の惑星と出会う。という言葉が印象的でした。2022/01/02