出版社内容情報
学問の第一線で活躍する先生たちはめちゃくちゃ個性的でおもしろい!そんな先生たちがおもしろいことをおもしろがって研究するのが、学問なんです。「人間」という研究対象に全く異なるアプローチで研究する3人の先生たちを通じて、学問のおもしろさを奥深さを体感してください!あなたの学びたい学問に出合える読み物シリーズが登場です。
★この巻に登場する先生★
松尾豊先生(東京大学・工学)
長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学・自然人類学)
廣野由美子先生(京都大学・英文学)
目次
1 知能はつくることができるのか?(松尾豊先生 人工知能)(世の中にあるものや、できごとの「理由」を考えてみる;コンピュータで「人間とは何か?」がわかるかも!;「イヌとネコの見わけ方」を説明できるか ほか)
2 ヒトはいつ大人になるのか?(長谷川眞理子先生 行動生態学、自然人類学)(見て、聞いて、触って、嗅いで、「本物」に会えばわかる;チンパンジーより、「人間」のほうが変!;早めに赤ちゃんを卒業するのに、なかなか大人にならない人間 ほか)
3 物語に描かれている「人間」とは?(廣野由美子先生 英文学・イギリス小説)(ただ読むだけではもったいない、「物語」とのつきあい方;前向きな少女アンたちとの出会い;おもしろい!感動した!ではなぜダメ? ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
11
うまくいかないものや分からないものにはチャンスがある。ディープラーニングの登場で、人工知能は新たな段階へ。人間の仕事が奪われるとかマイナスに考えるのではなく、これを人間の生活にどう役立てていくかが大切。人間は離乳が早いのに大人になるのが遅い特異な動物。長い子ども期と思春期には意味があるはず。自然環境や人間社会の中で、複雑な世界の仕組みを学ぶこと。小説を読むことは、人間に対する洞察力を深めるうえでとても大切。一人称・二人称・三人称の見え方はそれぞれ違う。様々な視点から人間というものを探っていく。2020/10/18
spatz
11
「人間がわかった」(中1男子) 人工知能/行動生物学、自然人類学/英文学、イギリス小説 各分野の第一線で活躍する書き手による、一応高校生向けの、これからのために読む本☺️ サクサク読めて面白かった。
ムーミン2号
9
本書は三人の賢人さんが、どうして、どのように今の研究分野に分け入ったか、そして今やっていることはどういったことか、を平易に語っているものである。お一人は松尾豊先生で「知能はつくることができるのか?」と人工知能をテーマとしている。もう一人は長谷川眞理子先生で、「ヒトはいつ大人になるのか?」というテーマを説いている。行動生態学、自然人類学の分野である。三人目は廣野由美子先生で、「物語に描かれている「人間」とは?」を述べられている。先生のご専門は英文学・イギリス小説。2020/04/02
にくきゅー
5
研究者というと、なんとなく冷たいイメージがある。しかし、本書を読むと、その熱さに驚かされる。自分が興味をもったことの意味をどんどん更新していき、人間にとっての価値にまで高めている。人間とは、という問いが人工知能の開発へ、人間はなぜ他の動物と違うのか、という問いから、人間の思春期の研究へ、物語への感動から人間の本質を描く古典文学の価値の開拓へ。別々のアプローチではあるけども、人間の本質に迫る研究者たち。格好よいなぁ。2020/04/25
グルト
4
【002】⬛︎人間は他の動物と比べて思春期が長い。子どもを産むことができる体=大人とは言えず、30代でようやく感情のコントロールができる。10才から25年間子どもの成長を追う東京ティーンコホートプロジェクトでは、生物学や心理学、医学など多方面の切り口で思春期を研究する⬛︎著者は行動生態学、自然人類学の先生。スマホが当たり前の世代の子どもたちに本物を見ることを勧めていた。大人もスマホの世界に入り込んでしまっている。仕事でも趣味でも、本物とか現物を見たり感じたりすることが、人間らしさを形づくるのかもしれない。2025/04/19