出版社内容情報
シリーズ累計20万部突破!三日月堂の知られざる「過去」を描いたスピンオフ短編集。
内容説明
小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉―。弓子が幼いころ、初めて活版印刷に触れた思い出。祖父が三日月堂を閉めるときの話…。本編で描かれなかった、三日月堂の「過去」が詰まった番外編。
著者等紹介
ほしおさなえ[ホシオサナエ]
1964年東京都生まれ。ミステリ作家・詩人。1995年『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
415
4冊で終了した本編の「スピンオフ」。それなのに、5冊の中でベストの1冊だと思う。時代も背景も異なる、物語の断片のように見える短章を続けて読むうちに、登場人物の人生が走馬灯のように現前する思いがした。前編までが「今」を描いたのと対照的に、これは時間という厚みをもって、三日月堂を捉え直した前史の物語。祖父と父、そして弓子自身の誕生から成長、つながりを持つ人々の喜怒哀楽。それが1冊にみごとに凝縮されている。さて、三日月堂のイメージは「銀河鉄道の夜」の活版所が、底流になっていると確信したが、果たしてどうだろう。2019/12/15
しんごろ
406
弓子さんの幼かった頃からの三日月堂の話。でしたね。寂しさ、悲しさ、時には辛さも感じるが、なぜか心に沁みて温かく感じる。そして、縁、生き抜く力強さを学んだ物語でもあるかな。幼い頃からの弓子さんを見ていると、そっと弓子さんを応援したくなる。いつか弓子さんが素敵なパートナーと一緒になる時、お父さん、お母さんより長生きして、ずっと幸せであってほしいな。2020/02/12
カメ吉
402
『三日月堂』シリーズの番外編。本編の裏付けの内容だったけど主要な登場人物の歴史が語られて本編へ繋がってる。弓子さんの祖父母や両親の話は特に染みました。弓子さんの本編での強さ懐の深さなどはこういう人生の中で培われてきたのかと納得させられてしまう。 改めて本編のラストは良かったと感じました。シリーズ全体により深みを与える番外編ですごく良かった。2019/12/28
寂しがり屋の狼さん
387
シリーズ5冊目📚️カラスの伯父さんと三日月堂がその役目を終えるまでのお話し(’-’*)弓子さんの幼少期に号泣(´TωT`)「弓子ちゃんのお名前はね、みんなで考えたんだよ」「最初に弓子って言ったのはお母さんだった。『思いを遠くまで届けられる人』って言う意味なんだって」「そしたら、おじいちゃんが『すごくいい』って言い出して。弓って三日月と形が似てるでしょ?」「そうか、『三日月堂』だから?」「そうそう。三日月堂だから」🌜️三章【届かない手紙】より2021/05/04
しんたろー
334
シリーズ第5巻は、現在の三日月堂に繋がる過去が描かれたエピソード0と言える7編。 弓子に関係する亡き人々の目線で語られる想いがジンワリと沁みてくる。弓子の父、母、祖父母の気持ちが温かく、遺された者を優しく包み込むようで目頭が熱くなったし、彼らの真面目な生き様が弓子に受け継がれているのが伝わってきた。弓子の幼少期からの成長過程が伺えるのも嬉しい。どれも本シリーズらしい細やかだけど強い愛に満ちた話だが、特に父の想いの『星と暗闇』が好き。もう一度、1巻から読み直したくなる、番外編として真っ当な創りだと思った。2020/01/22