出版社内容情報
朝日新聞で掲載された過労死特集「追いつめられて」をもとに
追加取材を重ねて一冊にまとめた渾身のノンフィクション。
内容説明
朝日新聞の好評企画が待望の書籍化!その不幸は突然やってくる。他人ごとではない「現実」を7年にわたって追った渾身のノンフィクション。過労死を「自分ごと」と感じるために。
目次
第1章 幼子を残して逝った市役所職員
第2章 ステーキ店社員を苦しめた上司の暴力
第3章 若き公共放送女性記者の過労死
第4章 熱血先生が倒れた
第5章 スーパー店員、サービス残業の末の過労死
第6章 新入社員24歳の「過労事故死」
第7章 夜勤漬けのビデオ店社員、退職半年後の過労死
第8章 心の病にたおれた「まちの郵便屋さん」
第9章 リフォーム営業の男性を追いつめた「残業代ゼロ」
第10章 支え合う遺族たち
第11章 県庁マンの心をむしばんだ上司の叱責
著者等紹介
牧内昇平[マキウチショウヘイ]
1981年3月13日、東京都生まれ。朝日新聞記者。2006年東京大学教育学部卒業。同年に朝日新聞に入社。経済部記者として電機・IT業界、財務省の担当を経て、労働問題の取材チームに加わる。主な取材分野は、過労・パワハラ・働く者のメンタルヘルス(心の健康)問題(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
92
欧米社会の人は、過労死ということが理解できないと聞いたことがある。なぜ仕事が原因で命を失うのかが。パワハラや仕事量が多いことを言えずに溜め込んでしまう。そこまでになるまでに相談してくれれば・・・と会社や雇用主は後になってよく言う言葉だ。仕事の成果主義、合理化などを求めるあまり仕事に潰されてしまう。メンタルが弱い人だと簡単に言う人達も多いようだが、命を失うまでパワハラや過重労働に耐えてきた人たちのほうがずっとメンタルが強かったのではないかと思う。この言葉が無くなる社会がいつか来ることを願う。図書館本2024/11/04
メタボン
24
☆☆☆☆ 著者は朝日新聞の記者。遺族の気持ちに寄り添って丹念に取材を継続した著者に敬意を表したい。著者が取材を継続している間にも、「電通」の過労死問題により、日本は「働き方改革」という大号令の中、法的にも労働環境整備を義務付けられるようになってきている。しかし、パワハラ・過労死が根絶されることはない。この書に書かれているような過酷・非情な事例は、身近にありえるのだということ、また知らずに自分も加害者になりえるのだということを痛切に感じ、戒めようと思った。2019/07/02
funuu
14
「その仕事は命より大切ですか」答えは小学生でも分かる。人類を救うために命を投げ出すなら別だが。社畜生活41年目。過労死しかけたことがある十二指腸潰瘍で後2日3日専門病院へ行かないかったら動脈から大出血で死んでいた。2000人規模の営業会社。成長していた20人程度の支店。24時間戦う支店長。とりあえず指示に従って動いいれば出世もできた。10名の営業マンは半分辞めた。辞めれば他の支店等から補充がくる。部下にも24時間戦うことを求める。ちなみにこの人はNO2になった。NO1目前の65歳で脳出血で過労死。2019/04/21
マッキー
10
この本を読んで、やっぱり労働というのはお金を稼ぐ手段のようなものなのに、それで自分の生活や思考・命まですべて食い潰されるのは納得が行かないと思った。年収数千万稼げるような人なら激務でも仕方ないところはあるかもしれないけど、たかが300万400万で命を絶ってしまうような働き方をさせるなんて。2020/03/31
ふたば
5
養うべき家族がいたり、まだ若くこれから。。。と働き手たちが、心を病み、その結果死を選んだり、蓄積された疲労によって病や、事故によって命を落とす。残された者たちの悲しみはどれだけ時間が経っても消えることはない。頑張らなくていい時はある。あまりに苦しい職場ならそこは自分に合っていないのだと、無理することはないのだと、合わない仕事に固執するな、とそう伝えたい。もちろん、転職が簡単でないことは承知している。『ここは、まずい場所だ』とわかったなら、早くから逃げ出す準備をすることだと思う。自分が壊れてしまう前に。2019/09/22